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奥川くんに立ち向かう選手たちの笑顔 奥川くんの涙 [ヨモヤ]

去年の段階で、2019年の高校生はまれに見る豊作と予想されていた。
当時2年生だった投手が、3年生顔負けの投球をしていたからで、
特に、
大船渡高校の佐々木朗希くん、
横浜高校の及川雅貴くん、
星稜高校の奥川恭伸くん、
創志学園の西純矢くんの4人は、四天王と騒がれていた。

結局、最後の甲子園にたどり着いたのは星稜の奥川くんただ一人。
佐々木くんに至っては、打たれることさえできないままだった。

そのため、スカウトの中には
「奥川くんのための大会」
などという人もいるらしいが、個々の試合はいつもの年と変わらぬ好試合が展開されている。
特に、タイブレークとなった星稜対智辯和歌山の一戦は、球史に残る名勝負だった。

智辯和歌山という強豪を前に、奥川くんもエンジン全開。
初回から遠慮なく腕を振り、
14回を完投。
165球を投げ、実に23奪三振。
智辯和歌山から23奪三振というのは本当にすごい。

奥川くんにねじ伏せられ、
最後も劇的なホームランで敗戦した智辯和歌山だが、
選手たちは楽しそうにプレーしているように見えた。
化け物的な投球を続ける奥川くんに対し、
全力で向かっていける喜びを感じているようだった。
2回戦で星稜に負けた立命館宇治のメンバーも、奥川くんと戦える喜びにあふれていた。

延長戦に突入し、奥川くんは足がつったようなそぶりを見せた。
それを心配した智辯和歌山の主将黒川くんは、熱中症対策に効果がある錠剤を渡したのだという。
「敵味方は関係なく、奥川を助けたい」
と思ったのだそうだ。

試合終了後、勝った奥川くんが大粒の涙を流していた。
その理由は、
「向こうも本気で日本一を狙っていた学校で、日本一を取ってくれと黒川キャプテンに言われて込み上げるものがあった」
とのことである。
そして、自分の身体を気にかけた黒川くんの行動に対しては、
「こういうところが智弁和歌山の強さなんだと感じた」
と話したそうだ。

勝利至上主義の弊害がどうのこうの、
というおじさま方がおられる。
どこの世界の話だろう。
誰だって勝ちたいに決まっている。
そのためには、なんだってやる覚悟もいる。
それでも、相手を気遣う気持ちは別に持つことができる。
勝っても負けても構わないなどと思ったら、何も楽しくない。
何も見つからない。

選手の健康第一、
という声も聞こえる。
無理に怪我をする必要はないが、
自分のために、仲間のために、
自分に負けた相手のために、
全力を尽くしたいと思うのが当たり前だろう。

この試合も含め、今年の甲子園では楽しそうに野球をしているチームが目立つ気がする。
そりゃそうだ。
だって、野球は楽しいんだから。
甲子園という地球最高の舞台で野球をやっているんだから。
君たちには、世界で一番楽しむ資格がある。

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