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映画評 「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」 [映画評]

多分駄目だろうな、と予想して観に行ったら、意外とよかったりすることがある。
今年観た映画では、「ダイナー」がそのクチ。
きっと単なるトンデモ映画だろうと思っていたら、意外と面白くて驚いた。
正直、この「おっさんずラブ」についても、多分駄目だろうな、と予想していた。
しかし、低めに予想しておけば相当ひどくてもガッカリしないという利点がある。
のはずが「おっさんずラブ」は・・・。

ドラマで人気だった作品が映画化されるとたいていはコケる。
興行的にはまずまずでも、作品としては大コケすることがある。
なぜコケるかというと、
・気負い過ぎて世界観が変わってしまう、
・使い慣れないお金と時間をもらって、意味もなく規模だけが大きくなる、
・そもそも映画に合わない、
などの理由が考えられる。
こうしたコケパターンの典型的な症状は、
・無駄な海外ロケ、
・無駄なド派手シーン(カーチェイスやら、爆破やら)、
・急に出てきた大物俳優、
などがある。
「おっさんずラブ」は、見事なまでにこうした症状にはまっていた。

私は映画ファンであり、どんな映画であっても足を運んでもらいたいと願っている。
そのため、厳しめの映画評を書くときは、気が引けることもある。
しかし、この「おっさんずラブ」に関しては、大ヒットの出足となったようだし、
ネットの映画評も高いようだ。
だから、心置きなく思ったとおりに書ける。

「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」は、日本映画の悪いところが凝縮されたような作品である。
安易な企画、
雑なストーリー、
稚拙な演出と美しくない映像、
安っぽい特撮シーン、
などなど。
まさに、ハラホロヒレハレである。
ファンのための映画であり、それをわざわざ観に行った私が悪いのだろうが、我慢を強いられる2時間だった。
どうしてこういう映画が作られてしまうのか、切なくなった。
日本映画の力のなさを思い知らされて、邦画ファンとしては心底悲しくなった。

もちろん、コメディである。
くそ真面目に観る映画ではない。
楽しめばいい。
しかし、こんな雑な話を見せられて、どう楽しめばいいというのか。
コメディこそ丁寧に作ってほしい、などという願いは全く叶わない。

主演は、もちろん田中圭くん。
最初から最後まで、ひたすら大騒ぎ。
感情移入できる要素はゼロだった。
旬な俳優さんをこんな風に使うのは悲しい。
吉田鋼太郎さんや沢村一樹さんは、安定の怪演ぶりだが、この脚本ではどうにもならない。
他の出演者からもなにも感じなかった。
あえて言えば、おかずクラブのゆいPさんがよかった。

「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」は、ダメダメな映画。
いい出足だったようだし、観た人は満足だったようだから、それはまあおめでたい。
この映画がヒットしてしまうことについて、邦画ファンとしては、悲しい思いが募ったが。

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