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映画評 「アルキメデスの大戦」 [映画評]

戦後70年以上経ち、戦争映画もいろいろなパターンで撮られてきた。
戦場を描いたものだったり、
司令部を描いたものだったり
母の立場だったり。
本作は、「数学」という切り口。
それは確かに新しいが、奇をてらい過ぎていないかちょっと心配だった。
また、主人公が、あまり反戦の立場に偏り過ぎると興が醒めそうな不安もあった。

しかし、本作は娯楽作としてしっかり成立していた。
戦争ものというより、
ビジネスものに近い感覚。
展開はまさに「半沢直樹」であった。

終盤の展開も、善人と悪人を区別するようなものではなく、
ひねりが効いていた。

主人公の数学の天才を演じるのは菅田将暉さん。
ほとんど外れのない若手ナンバーワン俳優であり、今回もビシッと決めている。
主人公の付き人を命じられる軍人役の柄本佑さんがいい。
わかりやすい役をわかりやすく演じて共感させてもらえる。
ヒロイン役に浜辺美波さん。
彼女は、ちょっともったいない使われ方だった。

日本人にとって、夏はあの戦争がなんだったのかを考える季節でもある。
誰がいいとか悪いとか、そんな簡単な割り切りではなく、しっかり向き合いたい。
「アルキメデスの大戦」は、あくまでも娯楽作であり、シリアスな展開はないが、
戦争や人間のいろいろな面が描かれている。
十分に楽しめて、
人それぞれに考えられる作品である。

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