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2020年の日本映画を振り返る その3 「2020年私の選ぶ10本 その1」 [映画評]

先日、「2020年困った映画」について書いたが、今回はよかった映画。
映画界にとっても厳しい一年だったと思うが、もちろん良作も多かった。
例年と比べると、少々物足りない面もあったが、やむを得ない気もする。
去年観た邦画96本の中から、10本を選んでみたい。

まず、絶対に外せない映画として思いつくのは、
「37セカンズ」「君が世界のはじまり」の2本。

「37セカンズ」は、若い女性身障者が主人公。
実際に演じているのもオーディションで選ばれた身障者の方。
難しいテーマであると思うが、一人の女性の成長物語として、エンターテインメント性も保ちつつ描き切っている。
際どい領域にも全力で踏み込みつつ。
後半、あらあらな展開もややあるが、それでも損なわれない素晴らしさがある。

「君が世界のはじまり」は、青春群像劇。
今の時代らしく、まっすぐな青春を歩んでいるわけではないが、ヒリヒリしていて、尖っている姿の根本は変わっていない。
ショッピングセンターでの模擬ライブシーンの絶頂感はたまらなかった。

「37セカンズ」「君が世界のはじまり」の2本とも、女性監督の作品。
女性監督はまだあまり多くないが、これからそうした傾向も変わってくるかもしれないと感じさせてもらえた。

続いて、「ひとくず」と「ミッドナイトスワン」も忘れがたい。

「ひとくず」は、劇団を主宰している上西雄大さんという方が監督・脚本・主演を務められた渾身の作品。
不器用過ぎる男と女が、ガシガシぶつかりながら家族を求める。
自主映画のようなざらざらした手触りが、観ているものに直接届く。
強烈。

「ミッドナイトスワン」は、各種の映画祭でも高い評価を受けている作品。
トランスジェンダー役を演じる草なぎ剛さんの好演が光るが、服部樹咲さん、上野鈴華さんという二人の若手女優も素晴らしかった。

続いての2本は異論も多々ありそうな作品。
それは、「ビューティフルドリーマー」と「とんかつDJアゲ太郎」である。
両作とも、ネットなどでの評価はあまり高くない。
しかし、個人的にはフルに楽しめた。

「ビューティフルドリーマー」は、アニメ史上に残る傑作とされる同名タイトルの「うる星やつら」の劇場第2弾作品をベースとした作品。
うる星版を監督した押井守さんの原案を映像化している。
なんじゃこりゃ、名作に泥を塗っている、など批判の声も小さくないが、私は面白かった。
胸が痛くなった、胸が熱くなった。

続いて、「とんかつDJアゲ太郎」。
伊藤健太郎さん、ブラザートムさん、伊勢谷友介さんといったお騒がせの面々が出演していて、妙な話題になってしまったが、映画そのものは極上エンタメ。
原作と違い過ぎる、ご都合過ぎるなどいろいろ言われたようだが、
素直に楽しい映画を素直に楽しむのも映画を観る楽しみ。

ここまでで6本。あと4本を選ぼう。
厳選ノミネートは、
「星の子」
「朝が来る」
「罪の声」
「一度死んでみた」
「糸」
「一度も撃ってません」
「劇場」
「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」
「喜劇 愛妻物語」
「MOTHER マザー」

ここからの4本をどう選ぶかは、次回に続く。

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