SSブログ

映画評 「ファーストラヴ」 [映画評]

多作で知られる堤幸彦監督の作品。
数を作るためには、現場を効率よく回さなければならない。
今作も、手際よくてきぱき進む。
途中、なぜここで、というタイミングで挿入歌が流れるが、そういうある種の軽さも堤監督流。

本作は、かなり重いテーマを扱っている。
もう少し踏み込めば、もっと奥深く心に残る作品になった気がするのだが、
そこまでは作り込まない。
これも堤監督流なのだろうか。

あらすじは、
父親を刺殺した娘に関するドキュメンタリー本の執筆を依頼された公認心理師が、
その娘は本当のことを言っていないと考え、調べを進めていくうちに、
自分自身がいろいろなことに向き合うことになる、
というもの。
主役の公認心理士役を北川景子さん、
夫役に窪塚洋介さん、
昔の恋人役に中村倫也さん、
父親を殺した娘役に芳根京子さん。

主演映画が相次ぐ北川景子さん。
演技どうこうというより、その美しさで映画を引っ張っていく。
今作の中村倫也さんはニヒルな役。
今の中村さんは、何をやってもはまる。
窪塚洋介さんが、落ち着いた大人の役をやっているのがなんだか興味深かった。
私の中では、いつまでも「ピンポン」のペコなので。

二人の女性の過去のトラウマが徐々に明らかになるのだが、
驚きはなく、深い共感が湧き上がってくるわけでもない。
ということは映画として成功しているとは言えないということになるだろう。
芳根京子さんは熱演しているが、いかんせん脚本が弱い。

なんだか2時間ドラマを観終わったときのような後を引かないのど越し。
これも堤監督流だろうか。
今作では、ちょっと物足りない感が募った。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事