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書評 「『知域』に1歩飛び出そう! ネットワーク活動でひろがる公務員ライフ」 [読書記録]

後藤好邦さんが書かれた
「『知域』に1歩飛び出そう! ネットワーク活動でひろがる公務員ライフ」
という本を読んだ。

後藤さんは山形市役所に務めておられ、
地方公務員の世界では、広く知られた存在である。
この本が出版されるのを待望されていた方も少なくないのではないだろうか。

このところ、スーパー公務員という言葉をよく聞く。
飛び抜けた成果を上げている公務員をそう呼ぶようだ。
後藤さんの大車輪の活躍ぶりは、まさに「スーパー」と呼ぶにふさわしいのだが、「スーパー公務員」という表現が似合うかというと、個人的にはちょっと違う気がする。
後藤さんは、熱く、謙虚で、子煩悩で、なんというか、生身の人間である。
スーパー公務員、として別のジャンルに飾ってしまうのは、ふさわしくない気がする。
この本にも、後藤さんの人間としてのありようが詰まっている。
私が後藤さんの何を知っているわけではないのだが、読み進めるにつけ、後藤さんの人柄が浮かんできた。

後藤さんは、まっすぐである。
もちろん、いろいろな葛藤があったり、悩んだり、立ち止まったり、言いたいことがあったりもするのだと思うが、
根本がまっすぐであると感じられる。
思いは届く、と信じておられるように映る。
そして、そのためにやれることはやるのだ、と自らに課しておられるようだ。

地方公務員だけではなく、今の世の中全体として、まっすぐであり続けることは難しい。
しかし、まっすぐさが人を動かしたとき、その力は強い。
後藤さんは、まさにそれを実践されている。

後藤さんは、素直である。
これだけ名前が知られるようになって、なお素直でいられることに、凄みさえ感じる。
後藤さんにとっては、自分を高めてくれる方に、肩書も年齢もない。
ありがたい、自分の役に立った、と思えば、素直に心から感謝することができる。
この本の中でも、数多くの方に感謝の気持ちを語っておられる。
できそうでできることではない。

タイトルで、
「1歩飛び出そう!」
と訴えているように、これから伸びていく若い人が読むと大きな刺激になるだろう。
だが、それだけではない。
むしろ、部下を持つ存在の方々にお読みいただきたい内容が詰まっている。
「なぜ若い奴は動かないんだ」
「どうして若手がついてこないんだ」
と思ったとき、自らを振り返ることができる一冊である。

この本は、今時珍しく、と言うべきか、文字で一杯である。
図もグラフも写真も、全然使われていない。
その代わり、文字の中に後藤さんの人間が見える。
まっすぐで、素直な後藤さんの姿が映る。

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