SSブログ

映画評 「哀愁しんでれら」 [映画評]

毎年何本か誕生してしまう奇作怪作。
本作はその一本であろう。
愛すべき奇作、
なんとも憎めない怪作、
というのもあるが、本作はひたすらズブズブ。
主演の土屋太鳳さんは、今作のオファーを3回断ったというが、その3回の判断は正しかったと言わざるを得ない。
もう一回断っておけば・・・。

この映画の上映時間は、約2時間。
しかし体感としては、もっともっともっともっと長く感じた。
途中からひどいのはわかったので、とにかく早く終わってくださいとひたすら念じたのだが、
その願いはかなわなかった。
いつまで経っても映画が終わらない。
そういう意味では、
「長い2時間を経験したい」
という方にはおススメである。

タイトルに「しんでれら」とあるように、苦しい状況から幸せに駆け上がるストーリー。
しかし上った後の落ち方も激しい。
山あり谷ありストーリーはワクワクドキドキ楽しいはずなのだが、
今作くらいとっちらかってしまうと、もうどうにもならない。
小さい伏線やエピソードが散りばめられているのだが、
それらはほったらかしのまま。
作り手の皆さんは、その状態でよく気持ち悪く思わなかったものだなあと、妙な感心をしてしまう。
監督さんだけではなく、
回りのスタッフさんも、製作委員会の皆さんも、なんとも感じられなかったのだろうか。
試写とか観て、「さすがに、これは」とか言わないのだろうか。

主演は、土屋太鳳さん。
この映画の咎は、監督・脚本が負うべきであり、土屋さんに非はない。
えらい作品に当たってしまったものだ。
共演は、田中圭さん。
田中さんも災難である。

土屋太鳳さんの妹役で山田杏奈さんが出演している。
山田さんは、公開中の「名も無き世界のエンドロール」にも「樹海村」にも出ている。
つまり、同じ時期に公開されている3本の映画に同時出演していることになる。
映画会社というのは、そのあたりの調整はしないものなのだろうか。

世の中には、「怖いもの見たさ」というものもある。
この映画は、サスペンスとしても完全に失敗しているし、ホラー作品でもないから、本質的な怖さは全くないが、
「なんでこんな映画ができちゃったんだ、こえ~」
「この映画、このまま公開することにGOサインが出てるんだ、こえ~」
的な怖さ、恐ろしさ、信じられなさはある。
すごくある。
だから、怖いもの見たさで観るのは、ありかもしれない。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事