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評価が難しい 2021年度の倒産は歴史的低水準 [経済を眺める楽しみ]

マスコミ報道を見ていると、
日本経済は苦しい要素しかないように感じられる。
企業もどんどん潰れているように思わされる。

もちろん、
コロナ禍であり、
原材料高であり、
人口減少であり、
という状況のなか、企業経営が楽なはずはないが、
少なくとも立ち行かなくなった企業がどしどし増えている状況にはない。
それどころか、減っている。
もっと言えば、倒産は歴史的に少ない件数になっている。

東京商工リサーチによれば、
2021年度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は、
件数が5,980件(前年度比16.5%減)、
負債総額が1兆1679億7400万円(同3.3%減)だったということである。

これだけ伝えられても多いのか少ないのかピンと来ないが、
件数については1964年度以来、57年ぶりの低水準であり、
負債総額についても、1973年度以来の、48年ぶりの低水準だったという。

つまり、倒産件数に絞れば、
歴史的な低水準なのである。

倒産が少ないのは、いいことである。
と、普通は思う。
しかし、手放しで喜んでいいのかというとそうでもなさそうだ。
倒産が減ったのは、企業が利益を上げたからではなく国による手厚い支援によるもので、
一時的な延命に過ぎない、という意見も根強い。
日本経済新聞は、
「生産性の低いゾンビ企業の延命措置になる。長い目でみれば、むしろ経済の衰退をもたらす」
という立場をとる。

多くの人がイメージしているように、
企業が次々に倒れてるという状況にはない。
ただし、企業が底力を発揮したのではなく、
人為的に新陳代謝が止められてしまっていると見れば、
負の要素も少なくない。
歴史的な倒産件数の低水準だが、評価がなんとも難しい。

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