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どうもピントが合わない「悪い円安」論 [経済を眺める楽しみ]

円安がどんどん進むにつれて、
「よい円安 悪い円安」
ということが頻繁に言われるようになった。
為替の水準は市場によって決まるものであり、よいも悪いもないと思うのだが。

円安について、鈴木財務大臣がこんな発言をされたという。
「価格に十分転嫁できないとか、賃金がその伸びを補うほど伸びていないことについては、
悪い円安と言えるのではないか」

ふむ。
短いフレーズであり、いろいろと省略があるために、真意はこちらが汲み取るしかない。
ちょっとした発言について細かく粗を探すのもよろしくないと思いつつ、
「はて?」と感じる点もないではない。

大臣は、
価格に十分に転嫁できていないこと、賃金が伸びていないことをとらえて、
悪い円安とおっしゃっている。
しかし、円安は為替のことであり、価格や賃金は別の次元のお話。

賃金が伸びないから悪い円安、というのはどうだろう。
為替相場は日々目まぐるしく変わるものであり、
それに比例して賃金が変動するはずもない。

価格に転嫁できないから悪い円安、とおっしゃるが、
円安に比例してどんどん物価が上がったらそれこそ大変ではないだろうか。

他の国との金利差が広がれば、通貨が安くなるのは当然のことであり、
よいとか悪いとかではないように思う。
円安で苦しくなる業界の方もおられ、
大臣としても何か言わざるを得ないということだったのだろうとは推察するけれど。

円安の功罪についてマスコミなどで言われていることは、
今ひとつピントが外れているような気がする。
金利差は今後も拡大する可能性が高く、
他の要素を勘案しても、現在の円安が一過性のものと考えない方がいいように思う。
むしろ、円安を所与のものとしてビジネスを構築していく必要があるのではないだろうか。
プラス面もあるのだから。

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