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映画評 「とんび」 [映画評]

このところ、1年に1本以上のペースで作品を発表している瀬々敬久監督。
60歳を超えて、制作意欲は全く衰えていないようだ。

平成史と若い二人の成長を絡めた「糸」が非常に面白かったので、
数十年という長い時間軸で描く本作「とんび」も
笑って泣ける人情活劇になっていることを期待した。

まあしかし、誰もが百発百中とはいかない。

私には、阿部寛さん演じる主人公が魅力的に映らなかった。
阿部さんはいつものようにしっかり映画を引っ張っておられたが、
なにやら騒がしいだけのおやじさんに見えてしまい、感情移入ができなかった。
「とんび」というタイトルは、「とんびが鷹を生む」という諺から来ているようだが、
北村匠海くん演じる息子が鷹に見えるわけでもなく。

ちとくどい。
ちとしつこい。
ちと騒ぎ過ぎる。

クライマックスがどこなのか今一つはっきりしないのも残念なところ。
ズルズルと映画が進んでしまった感がある。

阿部寛さんと宇梶剛士さん、安田顕さんなどとの絡みは面白いし、
広島の風景も魅力的。
そういうよさもあるものの、全体としては時間が長く感じられる映画となってしまった。

「とんび」は、どうにもうまくはまらなかった映画。
重松清さんのベストセラーを、瀬々監督が阿部寛を使って映像化するという鉄板企画のはずが、
なぜだか空回り。
こういうこともある。

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