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映画評 「階段の先には踊り場がある」 [映画評]

長い。
なんとしても長い。
132分の映画で実際長いのだが、それどころではない長さを感じた。
「いやもう、困った、もうそろそろ終わってほしい」
と思い、あまりないことだが映画中に時計を見た段階で、まだ始まって60分ほど。
「え?」と目を疑った。
この先まだ70分ある。
軽く絶望した。
いっそ寝てしまおうと思ったが、眠ってはいけないときにはすやすや眠れるが、
こういう時には眠れないものである。

相当我慢して、もうそろそろ終わるだろう、と時計を見たら、まだあと30分。
無限か。

本作は“感動”を肯定し、観客の心を揺さぶる企画を募集した映画コンペティション「感動シネマアワード」のグランプリ受賞作だという。
この映画を観て感動された方がおられたということなのだろう。
その忍耐力には感服する。

若者たちがうだうだしている映画。
その感じを出すために、どうでもいいシーンを長めに映している狙いはわかるのだが、
それによって観る側を退屈させてしまっては逆効果。
なにより、登場人物が一人残らず魅力的でないのはどうしたことか。
誰の何を描きたいのか、まったく伝わってこなかった。
手垢が付きまくった時系列をずらす演出がされているが、
それもわかりにくくなっただけで効果的とは思えなかった。

出演は、植田雅さん、平井亜門さん、手島実優さん、細川岳さんなど。
手島実優さんは、ちょうど時期を同じくして公開中の「猫は逃げた」にも出演しておられる。
細川岳さんは、「佐々木、イン、マイマイン」が鮮烈だった。
しかし、若手俳優さんの熱演も、この映画では活きてこない。

監督の木村聡志さんは、期待の若手映像作家。
登場人物があがき、躍動するような、
もっとみずみずしい作品が観たかった。

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