SSブログ

「第3回伝えたい映画大賞」 その2:作品賞部門 [映画評]

日本アカデミー賞をはじめとする各種映画賞に疑問を感じ、
自分たちで「伝えたい」と願う映画を選ぼう、という思いで始めた「伝えたい映画大賞」。
今年が第3回目となる。

ちなみに過去の結果は以下のとおり。
第1回(2019年公開の映画が対象)
大賞 「洗骨」 監督・照屋年之(ガレッジセールゴリ)
2位 「岬の兄妹」 監督・片山慎三
3位 「愛がなんだ」 監督・今泉力也

第2回(2020年に公開の映画が対象)
大賞 「37セカンズ」 監督・HIKARI
2位 「糸」 監督・瀬々敬久
3位 「アルプススタンドのはしの方」 監督・城定秀夫

今回取り上げられたのは
「街の上で」
「花束みたいな恋をした」
「子どもはわかってあげない」
「映画大好きポンポさん」
「漁港の肉子ちゃん」
「偶然と想像」
「モルエラニの霧の中」
「アジアの天使」
「サマーフィルムに乗って」
「梅切らぬバカ」
「JUNK HEAD」
「護られなかった者たちへ」
といった作品たち。

映画賞を席巻した濱口竜介監督作品では「ドライブ・マイ・カー」より、「偶然と想像」に評価が集まった。
「偶然と想像」では、女優さんたちの頑張りやセリフの面白さも注目されたし、
文句なく面白くもあったのだが、
濱口監督が散々映画賞をもらわれたということもあってか、1位という声は上がらなかった。

「花束みたいな恋をした」も、新しい恋愛映画のスタンダードとして高く評価された。
「ビリギャル」「罪の声」と佳作を連発されている土井裕泰監督は、次回作も注目である。
文句のない作品だが、伝えたい映画かとなると微妙。

個人的には、2021年は不作の年だったと思う。
コロナ禍で撮影に制約があったからなのか、しっかり作られた作品は数少なく、
アイデアも実に乏しかった。
そんななか、私が推したのは「偶然と想像」のほか、
「ポンポさん」「肉子ちゃん」というアニメ作品。
2作とも作り手の思いのこもった熱い映画だった。

選考会では、「街の上で」が高く評価された。
個人的には、2021年の今泉監督作品としては「あの頃。」の方が好きだったし、
一年を代表する1本という意味では、熱量という点でやや不足しているように感じた。
しかし、振り返ってみるといろいろなシーンが思い出され、
穂志もえかさん、古川琴音さん、萩原みのりさん、中田青渚さん(「君が世界の始まり」組)といった若手女優の皆さんの演技も印象深く、
若葉竜也さん演じる主人公の情けなさも実にしてリアルだった。
はい、わかりました。

というわけで、
第1位 「街の上で」 今泉力哉監督
第2位 「偶然と想像」 濱口竜介監督
第3位 「映画大好きポンポさん」 平尾隆之監督
と、相成った。
「伝えたい」と思った映画たちである。

すでに2022年も3分の1を経過しようとしているが、
今年もここまでのところ不作である。
いい企画だなあ、と思わせてくれる作品もほとんどない。
残念ながら。

ゴールデンウイークから夏休みにかけての書き入れ時にいい映画が公開されることを祈りたい。
ワクワクして映画館に足を運ばせていただきたい。
作り手の皆さんは、映画作りに携われる喜びとそれゆえの責任を忘れず、
私たちを驚かせ続けていただきたい。
「伝えたい」と思える映画に出会えることを心から楽しみにしている。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事