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映画評 「やがて海へと届く」 [映画評]

岸井ゆきのさんは、なんとも不思議な女優さんである。
失礼ながら飛び抜けて美しいというわけではなく、
むしろ親しみが持てる感じの容姿なのだが、
映画が進むにつれて徐々に引き込まれていく。
学生でも通じる若々しさを持ちつつ、
もちろんOL役も楽々いける。

共演の浜辺美波さんは、押しも押されもせぬ若手女優のトップのお一人。
本作のような小品に出演されるのはなんだか嬉しい。
映画の中ではいろいろな髪形を披露してくださっていて、ファンはそれだけで十分楽しめるだろう。

岸井さんと浜辺さんが共演される、というだけで映画への期待は高まる。
というか、この二人が画面にいるだけで一定成立してしまいそうである。

雰囲気もある映画なのだが、
その雰囲気も若手女優お二人も、今一つうまく活かされていない。
浜辺さん演じる女性が一人旅に出たまま行方知れずになり、
友人であった岸井さんさんはそれを受け入れられずに戸惑う、
というのが大筋なのだが、
受け入れられずに戸惑うのは観ているこちらの方であった。
なんというか、なんだかよくわからないのである。
といって、ミステリー仕立てというわけでもなく、
単なる説明不足若しくは演出の不成功。

アニメのシーンも含め、作家性のある作品で、
好感を持って観られるところも少なくない。
もう少しシンプルにわかりやすく話を展開させていただければ心に届いたと思う。
3.11とのつながりも唐突で響かない。

「やがて海へと届く」は、なんとももどかしい映画。
まあ、岸井さんと浜辺さんを観ると割り切れば、もとはしっかり取れるけれど。

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