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確かに日本映画は漫画原作ばかりだが [映画評]

ENCOUNTというサイトに、
“日本映画はなぜ「漫画原作ばかり」なのか 井筒監督が語る、製作委員会制の弊害”
という記事が掲載されていた。

井筒監督は日本映画の現状について、
「日本映画は日本経済と一緒でまったくダメ。手堅く稼ごう、とにかく採算取れたらいいとしか考えてないから」
と一刀両断し、
委員会方式でリスクを分断して手堅いものにしか手を出さないと嘆いておられる。
クラウドファンディングについても、
「クラウドファンディング?しょんべんみたいな話だよ。人様から2万円ずつもらって、ちりも積もれば1000万円になりました、エンドロールで500人のクレジット出しましたって、そんな映画見たくもないだろ」
とにべもない。

私も日本映画に発想力が貧困なことは、嘆かわしいと思っている。
しょっちゅう映画館に行くので、そのたびに予告編を観るが、
似たようなものばかりだと感じることが多い。
洋画の予告編には、とても思いつかないようなあんな話こんな話が盛りだくさんで、興味をそそられる。
予告編だけで彼我の差を痛感するのは寂しい。

漫画原作が多いことも井筒監督の指摘のとおりで、
その原因や弊害も語られているとおりだと思う。

しかし、漫画原作の中に面白い映画があることもまた確かである。
「ピンポン」や「ちはやふる」など、私の大切な映画も漫画原作である。
だから、漫画原作だから駄目とはならない。
いまどき、ほとんどの映画が委員会方式だが、この形式でも佳作は生まれる。

また、日本映画が全面的に駄目、ということもない。
昨年、濱口監督の「ドライブ・マイ・カー」が世界の映画賞を席巻したのは記憶に新しいところだし、
今年も川和田恵真さんという若手女性監督が「マイスモールランド」という秀作を届けておられる。

映画界の今と昔を知っておられる井筒監督の嘆きはよくわかる。
しかし、
いい作品を作ればそれがどこかで響くという環境にはあると思う。
真っ当な評価を受けられる確率は増している。
我々受け取り側は、
作り手の信念を信じるとともに、
いいものをしっかり評価できる力を身につけたい。。

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