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映画評 「ナワリヌイ」 [映画評]

政治と暴力とは、切り離せない関係にある。
切り離せればいいのだろうが、それは決してできない。
比較的暴力との距離が遠かった日本でも、起きてはいけないことが起きてしまった。
しかし、政治と暴力の距離がもっともっと近い国はいくらでもある。
例えばロシアとか。

映画のタイトルは、ロシアの政治活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏から取ったもの。
本作は、反体制派として知られる氏が、自らの毒殺未遂事件の真相に迫るドキュメンタリー。

ナワリヌイ氏は航空機内で毒を盛られ、
その後、ドイツの病院で療養し、健康を取り戻した。
そして、市民の有志たちで構成される調査組織の協力を得て、
暗殺に加担したと思しき容疑者たちに接触し、
暗殺の真相を突き止めようとする。
直接電話して、かまをかけて、聞き出すというやり方で、
その一部始終が記録されている。
見ていてザワザワするシーンであり、ここが最大の見せ場である。

ナワリヌイ氏は、帰国すれば逮捕されると予想されているなか、
あえてロシアに帰国し、やはり拘束された。
空港には多くの支持者が集まり、その逮捕に義憤を覚えていた。
ロシアにも、プーチン政権のあり方はおかしいと考える人がかなりの数おられる。
そして、警察に弾圧されることを承知で抗議活動をされている。
その当たり前のことを見せている。

とはいえ、プーチンの体制は強固で、
ナワリヌイ氏側にとっては絶望的な状況に思える。
そんななか、最後にこんなメッセージを残して支持者を勇気づけている。
詳しく何を語ったかは劇場で確認していただきたいが、
概略としては、
「本当は、我々は強大な力を持っている」
「悪が勝つのは、善が何もしないから」
といった内容だった。
噛みしめたい言葉である。

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