地域通貨は新しい消費の形を導くか [ヨモヤ]
日本経済新聞の日曜紙面に、
「地域通貨が導く消費の未来」
と題した記事が掲載されていた。。
副題として、
「人と人との関係を再構築する手段なのだ」
と記されている。
さっと読める記事であり、深掘りされた内容ではないが、
日曜の朝、
地域通貨の現状やこれまでの経緯などをおさらいするにはちょうどよかった。
そこでは埼玉県飯能市の「Hello,againコイン」が紹介されている。
24店の店が参加している、というから、地域通貨としてもごく小規模のものである。
特徴は、
チップ機能がある、
3カ月以内に使わないと失効する、
といった点だという。
「腐るお金」
「減価するお金」
といった仕組みは、地域通貨を志す多く人に共通の思想だと思うが、
以前はそれを実行する方法が難しかった。
今なら、デジタルでそれを行うことができる。
記事の中には、
「消費とは、豊かさを何かを追及する旅のようなもの」
という言葉がある。
日々の買い物に、いちいち深い意味を持たせることはちょっと現実的ではないかもしれないが、
消費すること自体が、
つながりや応援の意味を持ち、
そこに「楽しさ」や広い意味での「幸せ」が生まれれば、
消費の形が変わってくるかもしれない。
消費の形が変われば世の中が変わってくるかもしれない。
通貨にはそれだけの力がある。
「地域通貨が導く消費の未来」
と題した記事が掲載されていた。。
副題として、
「人と人との関係を再構築する手段なのだ」
と記されている。
さっと読める記事であり、深掘りされた内容ではないが、
日曜の朝、
地域通貨の現状やこれまでの経緯などをおさらいするにはちょうどよかった。
そこでは埼玉県飯能市の「Hello,againコイン」が紹介されている。
24店の店が参加している、というから、地域通貨としてもごく小規模のものである。
特徴は、
チップ機能がある、
3カ月以内に使わないと失効する、
といった点だという。
「腐るお金」
「減価するお金」
といった仕組みは、地域通貨を志す多く人に共通の思想だと思うが、
以前はそれを実行する方法が難しかった。
今なら、デジタルでそれを行うことができる。
記事の中には、
「消費とは、豊かさを何かを追及する旅のようなもの」
という言葉がある。
日々の買い物に、いちいち深い意味を持たせることはちょっと現実的ではないかもしれないが、
消費すること自体が、
つながりや応援の意味を持ち、
そこに「楽しさ」や広い意味での「幸せ」が生まれれば、
消費の形が変わってくるかもしれない。
消費の形が変われば世の中が変わってくるかもしれない。
通貨にはそれだけの力がある。
映画評 「すずめの戸締り」 [映画評]
映画「すずめの戸締り」を観てから一月以上が経ち、
ようやく平静に振り返ることができる境地になってきた。
観終わった直後は、
もらったものが強烈過ぎて感想を文字にする気になれなかった。
扱っている題材はタブー視されがちなものだし、
ストーリーにはツッコミどころも少なくないから、
賛否や好き嫌いが分かれるのも理解できる。
「アラ」があるようにも感じる。
震災をエンタメにすることへの抵抗感もわかる。
しかし、そうしたものすべてを超越するすさまじさを感じた。
創造者の暴力的なエネルギーとでも言うのだろうか。
新海誠監督は、見た目おとなしそうである。
荒ぶる心や天才の狂気とは無縁のようにも感じられなくない。
油断させられた。
「すずめの戸締り」からは、
描きたいもの、
伝えたいもの、
話したいこと、
があふれ出してくるように感じられた。
私は、それに飲み込まれた。
新しい物語を作ることへの恐怖は、
新海監督にもあったと思う。
しかし、制作欲求がその恐怖を上回ったのだろう。
震災を語ることへのためらいは、
きっと強く感じたと思う。
しかし、伝えなければならないという気持ちがそれを上回ったのだろう。
振り返って映画を要約しようとすると、
あれ、なんだかシンプルで、どうかしたら陳腐な話になりそうだ。
思い返して登場人物を説明しようとすると、
あれ、なんだかステレオタイプにも感じられる。
それなのに、むんずと胸ぐらをつかまれて映画に引きずり込まれた。
新海さんの映画を何本も観てきたが、いい映画作家だとは思っても、
狂気のようなものは感じなかった。
私が甘かった。
一方、単純に面白い映画でもあった。
子どももきっと楽しめる。
そこがまた素晴らしい。
そこから逃げないところもグッとくる。
3年後、新海監督は今作を上回るような作品を届けてくださるだろうか。
正直、それは難しいのではないかと思う。
そんなことができたら、それはもはや人間業を超える。
今は、すごいものを受け取った喜びに震えていよう。
ようやく平静に振り返ることができる境地になってきた。
観終わった直後は、
もらったものが強烈過ぎて感想を文字にする気になれなかった。
扱っている題材はタブー視されがちなものだし、
ストーリーにはツッコミどころも少なくないから、
賛否や好き嫌いが分かれるのも理解できる。
「アラ」があるようにも感じる。
震災をエンタメにすることへの抵抗感もわかる。
しかし、そうしたものすべてを超越するすさまじさを感じた。
創造者の暴力的なエネルギーとでも言うのだろうか。
新海誠監督は、見た目おとなしそうである。
荒ぶる心や天才の狂気とは無縁のようにも感じられなくない。
油断させられた。
「すずめの戸締り」からは、
描きたいもの、
伝えたいもの、
話したいこと、
があふれ出してくるように感じられた。
私は、それに飲み込まれた。
新しい物語を作ることへの恐怖は、
新海監督にもあったと思う。
しかし、制作欲求がその恐怖を上回ったのだろう。
震災を語ることへのためらいは、
きっと強く感じたと思う。
しかし、伝えなければならないという気持ちがそれを上回ったのだろう。
振り返って映画を要約しようとすると、
あれ、なんだかシンプルで、どうかしたら陳腐な話になりそうだ。
思い返して登場人物を説明しようとすると、
あれ、なんだかステレオタイプにも感じられる。
それなのに、むんずと胸ぐらをつかまれて映画に引きずり込まれた。
新海さんの映画を何本も観てきたが、いい映画作家だとは思っても、
狂気のようなものは感じなかった。
私が甘かった。
一方、単純に面白い映画でもあった。
子どももきっと楽しめる。
そこがまた素晴らしい。
そこから逃げないところもグッとくる。
3年後、新海監督は今作を上回るような作品を届けてくださるだろうか。
正直、それは難しいのではないかと思う。
そんなことができたら、それはもはや人間業を超える。
今は、すごいものを受け取った喜びに震えていよう。
M-1グランプリ2022を振り返る [ヨモヤ]
いい大会になってほしい、と祈った今年のM-1。
「コウテイ」が病気のため敗者復活戦に出場できず、
昼の時点で、私の祈りはかなりの割合でついえた。
決勝の10組を総括すると、
前半がやたらと面白く、後半は落ち着いた感じ。
前半のメンバーを見ていたら、
「こりゃ、金属バットが落ちるのも仕方ないな」
と思えたが、後半を見ていると、
「あれ?」という気になった。
決勝のネタを簡単に振り返ってみる。
誰もが忌み嫌うトップバッターは「カベポスター」。
偶然なんだろうけれどトップバッターに絡んだネタ。
落ち着いて楽しむことができて、オチもしっくりくる。
いきなり面白かった。
立派だった。
2番手が、私の中の優勝候補だった「真空ジェシカ」。
期待どおり面白く、何度も声を出して笑った。
ただ、大オチがちょっと残念。
妙な間が空く瞬間もあり、そこで緊張感が伝わってしまい、
彼らの100%ではなかったか。
2番手という順番も不運だったが、
それを跳ね返す力を来年は期待したい。
3番手は「オズワルド」。
敗者復活のネタが面白く、納得の決勝進出だったが、
それと同じネタで拍子抜け。
ど真ん中から優勝まで突き抜けるなら、一日で違うネタを3本やり切って欲しかった。
それをやるのが優勝候補の使命である。
4番手が「ロングコートダディ」。
マラソン大会のネタで、次々と妙な選手が現れては追い抜いていくお話。
終始楽しかった。
このくらいウケると最終決戦進出が見えてくる。
5番手が「さや香」。
おそらく、この日一番の爆笑をさらった。
なんでもない話なのだが、ツッコミの強さやボケの間で笑いが増幅していく。
これぞ漫才。
ここまでの5組で、最も弾けなかったのがオズワルドというハイレベルな争い。
このままいったらどうなるのかと思ったが、
はじめにも書いたように、後半はそうでもなかった。
6番手が「男性ブランコ」。
繰り返しのネタで途中からちょっと飽きてくるのだが、
死に方が面白い。
7番手が「ダイヤモンド」。
予選でも披露していたネタだが、同じことの繰り返しはしんどい。
8番手が「ヨネダ2000」。
彼女たちは、去年の方が面白かった気がする。
先日の「THE W」も今一つだったし。
大好きな「キュウ」が9番手。
ほぼドンスベリの状況で、応援しているこちらが辛くなった。
もっといいネタあったろうに。
最後が「ウエストランド」。
毒舌ネタ。
昔からあるジャンルで、楽しくはあったが、
もう一本見るとしたら「男性ブランコ」の方を見たいと思った。
最終決戦に残ったのは、「さや香」「ロングコートダディ」「ウエストランド」の3組。
「真空ジェシカ」に残って欲しかったが、仕方がない。
最初にネタを披露したのが「ウエストランド」。
一本目と同じパターンでひたすら毒づくのだが、
その対象がR-1やM-1本体だったりするので危なさが増し、笑いも増した。
私も声を出して笑ったが、
M-1の頂点に立つ漫才としてはちょっと違うのではないかとは思った。
2番目が「ロングコートダディ」。
タイムスリップの話でそこそこ面白いが、
1本目と比べると爆発力は今一つ。
最後が「さや香」。
喋りで笑わせるネタで、漫才らしい漫才。
ただ、一本目の方がよかった。
優勝は「ウエストランド」。
一組選ぶのは難しいと思ったが、
審査員7人中6人が投票するという、明確な差がついた。
個人的には、「さや香」に勝ってほしかった。
漫才の大会をど真ん中の漫才が制する姿が見たかった。
放送が終わり、
お祭りが終わった寂しさを感じている。
個人的には、
大満足、ハッピーエンド、でもなかった。
でもまあ、それは仕方がない。
漫才師の皆さん、
スタッフの皆さん、
お疲れ様でした。
M-1があって、本当に幸せです。
「コウテイ」が病気のため敗者復活戦に出場できず、
昼の時点で、私の祈りはかなりの割合でついえた。
決勝の10組を総括すると、
前半がやたらと面白く、後半は落ち着いた感じ。
前半のメンバーを見ていたら、
「こりゃ、金属バットが落ちるのも仕方ないな」
と思えたが、後半を見ていると、
「あれ?」という気になった。
決勝のネタを簡単に振り返ってみる。
誰もが忌み嫌うトップバッターは「カベポスター」。
偶然なんだろうけれどトップバッターに絡んだネタ。
落ち着いて楽しむことができて、オチもしっくりくる。
いきなり面白かった。
立派だった。
2番手が、私の中の優勝候補だった「真空ジェシカ」。
期待どおり面白く、何度も声を出して笑った。
ただ、大オチがちょっと残念。
妙な間が空く瞬間もあり、そこで緊張感が伝わってしまい、
彼らの100%ではなかったか。
2番手という順番も不運だったが、
それを跳ね返す力を来年は期待したい。
3番手は「オズワルド」。
敗者復活のネタが面白く、納得の決勝進出だったが、
それと同じネタで拍子抜け。
ど真ん中から優勝まで突き抜けるなら、一日で違うネタを3本やり切って欲しかった。
それをやるのが優勝候補の使命である。
4番手が「ロングコートダディ」。
マラソン大会のネタで、次々と妙な選手が現れては追い抜いていくお話。
終始楽しかった。
このくらいウケると最終決戦進出が見えてくる。
5番手が「さや香」。
おそらく、この日一番の爆笑をさらった。
なんでもない話なのだが、ツッコミの強さやボケの間で笑いが増幅していく。
これぞ漫才。
ここまでの5組で、最も弾けなかったのがオズワルドというハイレベルな争い。
このままいったらどうなるのかと思ったが、
はじめにも書いたように、後半はそうでもなかった。
6番手が「男性ブランコ」。
繰り返しのネタで途中からちょっと飽きてくるのだが、
死に方が面白い。
7番手が「ダイヤモンド」。
予選でも披露していたネタだが、同じことの繰り返しはしんどい。
8番手が「ヨネダ2000」。
彼女たちは、去年の方が面白かった気がする。
先日の「THE W」も今一つだったし。
大好きな「キュウ」が9番手。
ほぼドンスベリの状況で、応援しているこちらが辛くなった。
もっといいネタあったろうに。
最後が「ウエストランド」。
毒舌ネタ。
昔からあるジャンルで、楽しくはあったが、
もう一本見るとしたら「男性ブランコ」の方を見たいと思った。
最終決戦に残ったのは、「さや香」「ロングコートダディ」「ウエストランド」の3組。
「真空ジェシカ」に残って欲しかったが、仕方がない。
最初にネタを披露したのが「ウエストランド」。
一本目と同じパターンでひたすら毒づくのだが、
その対象がR-1やM-1本体だったりするので危なさが増し、笑いも増した。
私も声を出して笑ったが、
M-1の頂点に立つ漫才としてはちょっと違うのではないかとは思った。
2番目が「ロングコートダディ」。
タイムスリップの話でそこそこ面白いが、
1本目と比べると爆発力は今一つ。
最後が「さや香」。
喋りで笑わせるネタで、漫才らしい漫才。
ただ、一本目の方がよかった。
優勝は「ウエストランド」。
一組選ぶのは難しいと思ったが、
審査員7人中6人が投票するという、明確な差がついた。
個人的には、「さや香」に勝ってほしかった。
漫才の大会をど真ん中の漫才が制する姿が見たかった。
放送が終わり、
お祭りが終わった寂しさを感じている。
個人的には、
大満足、ハッピーエンド、でもなかった。
でもまあ、それは仕方がない。
漫才師の皆さん、
スタッフの皆さん、
お疲れ様でした。
M-1があって、本当に幸せです。
M-1 とにかくいい大会に [ヨモヤ]
M-1決勝の舞台に上がれるのは、
数千組のエントリーの中からわずか10組。
だから、ここに残れるだけですごいことである。
今さらながら、この決勝に9回連続で進出した「笑い飯」は、
とてつもない漫才ポテンシャルを持った存在だったことがわかる。
そして、
3回連続準優勝だった「和牛」もとんでもなかった。
「和牛」が最後のチャレンジであることを公言して臨んだ年は、
ひたすら彼らの優勝を祈った。
皆が面白い漫才をすることを願ったが、
「和牛」が優勝することを優先して祈った。
しかし、その祈りは届かなかった。
今年のM-1では、
おそらく多くのお笑いファンと同じく、
「金属バット」の決勝進出を祈った。
しかし、その祈りも届かなかった。
敗者復活組を含め決勝の舞台に上がる今年の10組に、
個人的な思い入れがそこまで深いコンビはいない。
「キュウ」の得も言われぬ不思議な言葉遊びが好きだが、きっと優勝はないかな。
「真空ジェシカ」の笑いが好きで、下馬評も高いようで、優勝してくれたら嬉しいが、
より面白いコンビがいれば、それはそれで仕方がない。
今年は、ただ、いい大会であることを祈る。
決勝に残れなかったコンビの分も、
どうしてもお笑いを続けることができなかった者たちの分も、
あれもこれもそれもどれもひっくるめて、
思い切り笑わせてほしい。
YouTubeにM-1のプロモーションが公開されている。
燃えて、泣ける。
何度見ても、震える。
いよいよだという気持ちが募る。
https://www.youtube.com/watch?v=mz9DaOxoCRA
賞レースでハッピーエンドはなかなかないが、
そんな素敵な夜が来ることを祈っている。
この祈りは届くだろうか。
数千組のエントリーの中からわずか10組。
だから、ここに残れるだけですごいことである。
今さらながら、この決勝に9回連続で進出した「笑い飯」は、
とてつもない漫才ポテンシャルを持った存在だったことがわかる。
そして、
3回連続準優勝だった「和牛」もとんでもなかった。
「和牛」が最後のチャレンジであることを公言して臨んだ年は、
ひたすら彼らの優勝を祈った。
皆が面白い漫才をすることを願ったが、
「和牛」が優勝することを優先して祈った。
しかし、その祈りは届かなかった。
今年のM-1では、
おそらく多くのお笑いファンと同じく、
「金属バット」の決勝進出を祈った。
しかし、その祈りも届かなかった。
敗者復活組を含め決勝の舞台に上がる今年の10組に、
個人的な思い入れがそこまで深いコンビはいない。
「キュウ」の得も言われぬ不思議な言葉遊びが好きだが、きっと優勝はないかな。
「真空ジェシカ」の笑いが好きで、下馬評も高いようで、優勝してくれたら嬉しいが、
より面白いコンビがいれば、それはそれで仕方がない。
今年は、ただ、いい大会であることを祈る。
決勝に残れなかったコンビの分も、
どうしてもお笑いを続けることができなかった者たちの分も、
あれもこれもそれもどれもひっくるめて、
思い切り笑わせてほしい。
YouTubeにM-1のプロモーションが公開されている。
燃えて、泣ける。
何度見ても、震える。
いよいよだという気持ちが募る。
https://www.youtube.com/watch?v=mz9DaOxoCRA
賞レースでハッピーエンドはなかなかないが、
そんな素敵な夜が来ることを祈っている。
この祈りは届くだろうか。
俺たちが一番面白い ~ 夢の舞台はもう目の前 ~ [ヨモヤ]
何故、M-1にこれほど熱くなるのだろう。
出演者も、見る側も。
M-1で名を上げれば一気に売れるからか。
金や名声が手に入るからか。
人生が変わるからか。
人生が変わる瞬間に立ち会えるからか。
もちろん、そうした面はあるだろう。
しかし、とっくに売れているコンビもM-1で命を削っている。
リスクの方が大きいだろうに。
M-1には夢がある。
それは金や名声を手に入れる夢だろうか。
もちろん、そうした面はある。
しかし、それだけではない。
では何か。
それは自分を証明できることではないだろうか。
何を証明するのか。
それは、
「俺たちが一番面白い」
という一点である。
そんなことに意味があるのか。
もちろんある。
しかし広く言えば、ない。
だからこそ燃える。
M-1の放送が始まる時間を、心も体も清め、テレビの前に正座して待ちたい。
日本人でよかった、と思える瞬間である。
出演者も、見る側も。
M-1で名を上げれば一気に売れるからか。
金や名声が手に入るからか。
人生が変わるからか。
人生が変わる瞬間に立ち会えるからか。
もちろん、そうした面はあるだろう。
しかし、とっくに売れているコンビもM-1で命を削っている。
リスクの方が大きいだろうに。
M-1には夢がある。
それは金や名声を手に入れる夢だろうか。
もちろん、そうした面はある。
しかし、それだけではない。
では何か。
それは自分を証明できることではないだろうか。
何を証明するのか。
それは、
「俺たちが一番面白い」
という一点である。
そんなことに意味があるのか。
もちろんある。
しかし広く言えば、ない。
だからこそ燃える。
M-1の放送が始まる時間を、心も体も清め、テレビの前に正座して待ちたい。
日本人でよかった、と思える瞬間である。
映画評 「ラーゲリより愛を込めて」 [映画評]
正直なところ本作については、
予告編を観る限り悪い予感の方が強かった。
二宮和也さん、北川景子さんという人気者の組み合わせから、
甘い展開、甘いエンディングを勝手に予想してしまった。
2020年の「糸」でうならされた瀬々敬久監督が、そんな甘々な映画にするはずもなかった。
終始暗い展開ながら、2時間画面に引き付けられた。
期待していなかっただけに、嬉しい誤算。
ほとんどのシーンがソ連の強制収容所での日々。
死ぬほど働らかされたり、
寒い中こき使われたり、
拷問を受けたり、
殴られたり、
蹴られたり、
と散々な日常が描かれる。
目をそむけたくなるようなシーンの連続だが、
俳優の皆さんの熱演もあり、しっかり観続けることができる。
主演の二宮和也さんの演技力は定評があるところだが、
本作は脇も豪華かつ重厚。
語り手的な役割を務める松坂桃李さんは、今や若手演技派俳優のトップ。
桐谷健太さんの熱い演技が映画を盛り上げ、
安田顕さんの痛い演技がリアリティを与えていた。
Sexy Zoneの中島健人さんが坊主頭で奮闘。
ちょっと抜けた二枚目役の多い中島歩さんが意外な悪役で出演されていた。
もっと見たかったがちょい役。
ロシアのウクライナ侵攻により、
この映画のインパクトがさらに増すことになった。
平和のありがたみもさることながら、
戦争が人の気を狂わせ、
運命を翻弄するところも切実に迫ってくる。
泣ける映画かというと、そうでもないかもしれないが、
ちゃんと作られた映画であった。
ちゃんと作られるのは、そう当たり前のことでもない。
予告編を観る限り悪い予感の方が強かった。
二宮和也さん、北川景子さんという人気者の組み合わせから、
甘い展開、甘いエンディングを勝手に予想してしまった。
2020年の「糸」でうならされた瀬々敬久監督が、そんな甘々な映画にするはずもなかった。
終始暗い展開ながら、2時間画面に引き付けられた。
期待していなかっただけに、嬉しい誤算。
ほとんどのシーンがソ連の強制収容所での日々。
死ぬほど働らかされたり、
寒い中こき使われたり、
拷問を受けたり、
殴られたり、
蹴られたり、
と散々な日常が描かれる。
目をそむけたくなるようなシーンの連続だが、
俳優の皆さんの熱演もあり、しっかり観続けることができる。
主演の二宮和也さんの演技力は定評があるところだが、
本作は脇も豪華かつ重厚。
語り手的な役割を務める松坂桃李さんは、今や若手演技派俳優のトップ。
桐谷健太さんの熱い演技が映画を盛り上げ、
安田顕さんの痛い演技がリアリティを与えていた。
Sexy Zoneの中島健人さんが坊主頭で奮闘。
ちょっと抜けた二枚目役の多い中島歩さんが意外な悪役で出演されていた。
もっと見たかったがちょい役。
ロシアのウクライナ侵攻により、
この映画のインパクトがさらに増すことになった。
平和のありがたみもさることながら、
戦争が人の気を狂わせ、
運命を翻弄するところも切実に迫ってくる。
泣ける映画かというと、そうでもないかもしれないが、
ちゃんと作られた映画であった。
ちゃんと作られるのは、そう当たり前のことでもない。
映画評 「月の満ち欠け」 [映画評]
映画のホームページには、
“「生まれ変わっても、あなたに逢いたい」という強い願いが起こした、あまりにも切なすぎる愛の奇跡”
とある。
本作は、「生まれ変わり」をテーマとした映画である。
んな非科学的な、と頭から否定してしまってはいけない。
かなり強引な物語展開なのだが、結構胸に来るものがあった。
恋愛模様は割と単純。
どこにでもある、と言えそうな出会い。
しかし、それでいい。
それでちゃんと伝わる。
見どころの一つは、
1980年代の高田馬場の風景が再現されているシーンの数々。
駅前の甘栗屋さんやムトウ楽器の看板、早稲田松竹など、
知っている人からすればセピア色のなつかしさ。
巨大セットを作って撮影されたという力の入れ具合である。
出演は、大泉洋さん、柴咲コウさん、目黒蓮さん、有村架純さんの4人を中心に、
子役たちが重要な役割を果たす。
大泉さんは、さすがの存在感で映画を引っ張る。
柴咲さんも控えめながら役にピッタリはまっておられた。
目黒さんは健闘、
有村さんは貫禄。
監督は、廣木隆一さん。
このひと月足らずの間に、
「あちらにいる鬼」「母性」
に続いて3本目の劇場公開となる。
コロナ禍での撮影の関係でこんなみょうちきりんなことになるのだろうが、
このあたりの配慮の無さが邦画の悲しいところである。
同じ監督の映画をダブらせるどころかトリプらせてどうする。
それはそれとして、映画はそれなり楽しめるもの。
子どもがいたりするとなおさら刺さるものがある。
“「生まれ変わっても、あなたに逢いたい」という強い願いが起こした、あまりにも切なすぎる愛の奇跡”
とある。
本作は、「生まれ変わり」をテーマとした映画である。
んな非科学的な、と頭から否定してしまってはいけない。
かなり強引な物語展開なのだが、結構胸に来るものがあった。
恋愛模様は割と単純。
どこにでもある、と言えそうな出会い。
しかし、それでいい。
それでちゃんと伝わる。
見どころの一つは、
1980年代の高田馬場の風景が再現されているシーンの数々。
駅前の甘栗屋さんやムトウ楽器の看板、早稲田松竹など、
知っている人からすればセピア色のなつかしさ。
巨大セットを作って撮影されたという力の入れ具合である。
出演は、大泉洋さん、柴咲コウさん、目黒蓮さん、有村架純さんの4人を中心に、
子役たちが重要な役割を果たす。
大泉さんは、さすがの存在感で映画を引っ張る。
柴咲さんも控えめながら役にピッタリはまっておられた。
目黒さんは健闘、
有村さんは貫禄。
監督は、廣木隆一さん。
このひと月足らずの間に、
「あちらにいる鬼」「母性」
に続いて3本目の劇場公開となる。
コロナ禍での撮影の関係でこんなみょうちきりんなことになるのだろうが、
このあたりの配慮の無さが邦画の悲しいところである。
同じ監督の映画をダブらせるどころかトリプらせてどうする。
それはそれとして、映画はそれなり楽しめるもの。
子どもがいたりするとなおさら刺さるものがある。
もっともっと井上に夢を見せてもらおう [ヨモヤ]
WBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級チャンピオンの井上尚弥が、
WBO世界同級王者ポール・バトラーを破り、史上9人目の4団体王座統一に成功した。
世界チャンピオン同士の対戦にもかかわらず、
戦前、井上の圧倒的有利が伝えられ、
井上の勝利に1.01倍の倍率を付けるブックメーカーさえあったという。
当然私も井上の圧勝を予想していたが、
試合は思わぬ展開。
圧倒的に押してはいるものの、決定打が奪えない。
いつもなら1発、2発のビッグパンチで相手がひるむものだが、
バトラーは何発受けてもしのいでいく。
井上に危ないシーンがあったわけではないのだが、
ラウンドを重ねること自体が滅多にないことで、
パンチが効いていないように見えたこともあり、
コンディションが悪いのかとも思えた。
バトラーは攻めてこない、井上も追いかけないで、
正直、結構じれったい試合だった。
井上は途中ノーガードの挑発を入れたりしたのだが、
それもいらぬことのように思えた。
KOラウンドは11。
ここまでもつれるとは、ちょっと驚いた。
KOしてもラウンドが深くなるだけで驚かれる。
これも井上の馬鹿馬鹿しいほどの強さを物語るものではある。
これで井上は、バンタム級でやるべきことはすべてやった。
ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズのバンタム級トーナメントに優勝し、
すべてのベルトをKOで奪い、
世界的ビッグネームのドネアとも完全決着を果たした。
次はさらに一階級を上げてスーパーバンタム級に挑戦することになる。
階級が上がって、井上のパンチが通用するのか。
やってみなければわからない。
ただし、世界が注目することはわかっている。
そんな選手をリアルタイムで見られている幸せに、
まだしばらくはひたっていられそうだ。
WBO世界同級王者ポール・バトラーを破り、史上9人目の4団体王座統一に成功した。
世界チャンピオン同士の対戦にもかかわらず、
戦前、井上の圧倒的有利が伝えられ、
井上の勝利に1.01倍の倍率を付けるブックメーカーさえあったという。
当然私も井上の圧勝を予想していたが、
試合は思わぬ展開。
圧倒的に押してはいるものの、決定打が奪えない。
いつもなら1発、2発のビッグパンチで相手がひるむものだが、
バトラーは何発受けてもしのいでいく。
井上に危ないシーンがあったわけではないのだが、
ラウンドを重ねること自体が滅多にないことで、
パンチが効いていないように見えたこともあり、
コンディションが悪いのかとも思えた。
バトラーは攻めてこない、井上も追いかけないで、
正直、結構じれったい試合だった。
井上は途中ノーガードの挑発を入れたりしたのだが、
それもいらぬことのように思えた。
KOラウンドは11。
ここまでもつれるとは、ちょっと驚いた。
KOしてもラウンドが深くなるだけで驚かれる。
これも井上の馬鹿馬鹿しいほどの強さを物語るものではある。
これで井上は、バンタム級でやるべきことはすべてやった。
ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズのバンタム級トーナメントに優勝し、
すべてのベルトをKOで奪い、
世界的ビッグネームのドネアとも完全決着を果たした。
次はさらに一階級を上げてスーパーバンタム級に挑戦することになる。
階級が上がって、井上のパンチが通用するのか。
やってみなければわからない。
ただし、世界が注目することはわかっている。
そんな選手をリアルタイムで見られている幸せに、
まだしばらくはひたっていられそうだ。
だからといってソフトバンク独走とも限らない [ヨモヤ]
今年のFAの最大の目玉だった日本ハムの近藤のソフトバンク入りが決まった。
ロッテで無双ぶりを発揮したオスナの獲得も決定的とのことである。
優勝したオリックスは西武の森を獲得したものの主砲の吉田を失い、
3位の西武はその森を失ったとあって、
早くも来シーズンのソフトバンクの独走を危惧する声もある。
しかし、それはどうだろう。
ソフトバンクとしては、何といっても千賀を失うのが痛い。
今年のソフトバンクのチーム防御率はリーグ3位で、決して悪くはなかったが、
二ケタ勝利を上げたのは千賀と東浜だけ。
先発陣が充実しているとは言えない。
近藤の加入は大きいが、
ソフトバンクの野手陣はもともと、柳田をはじめ、
上林、柳町、栗原、今宮、中村、周東、牧原、野村、
と人材が揃っている。
近藤が入って戦力アップになることは間違いないが、プラス幅がどれほどかは微妙である。
なんとなくずっと優勝し続けてきたように思えるソフトバンクだが、
実際のところ優勝したのはこの5年で1度だけ。
5年に1回の優勝なら、ほぼほぼ普通のチームと変わらない。
来年は是が非でもペナントを勝ち取りたいとの思いからの近藤、オスナの両取りだろうが、
さてどうなるだろう。
パ・リーグファンの私としては、来年も混戦になることを期待している。
ソフトバンクの補強は順調に進んだが、
オリックスの投手陣は来年も強力だろうし、
森の穴は大きいが西武の投手陣も強い。
楽天も戦力的には劣らないし、
ロッテは佐々木という切り札を持っている。
新球場で監督2年目を迎える新庄日本ハムも楽しみである。
それぞれのチームがしっかり見せ場を作ることができる2023シーズンになりますように。
ロッテで無双ぶりを発揮したオスナの獲得も決定的とのことである。
優勝したオリックスは西武の森を獲得したものの主砲の吉田を失い、
3位の西武はその森を失ったとあって、
早くも来シーズンのソフトバンクの独走を危惧する声もある。
しかし、それはどうだろう。
ソフトバンクとしては、何といっても千賀を失うのが痛い。
今年のソフトバンクのチーム防御率はリーグ3位で、決して悪くはなかったが、
二ケタ勝利を上げたのは千賀と東浜だけ。
先発陣が充実しているとは言えない。
近藤の加入は大きいが、
ソフトバンクの野手陣はもともと、柳田をはじめ、
上林、柳町、栗原、今宮、中村、周東、牧原、野村、
と人材が揃っている。
近藤が入って戦力アップになることは間違いないが、プラス幅がどれほどかは微妙である。
なんとなくずっと優勝し続けてきたように思えるソフトバンクだが、
実際のところ優勝したのはこの5年で1度だけ。
5年に1回の優勝なら、ほぼほぼ普通のチームと変わらない。
来年は是が非でもペナントを勝ち取りたいとの思いからの近藤、オスナの両取りだろうが、
さてどうなるだろう。
パ・リーグファンの私としては、来年も混戦になることを期待している。
ソフトバンクの補強は順調に進んだが、
オリックスの投手陣は来年も強力だろうし、
森の穴は大きいが西武の投手陣も強い。
楽天も戦力的には劣らないし、
ロッテは佐々木という切り札を持っている。
新球場で監督2年目を迎える新庄日本ハムも楽しみである。
それぞれのチームがしっかり見せ場を作ることができる2023シーズンになりますように。
本屋さんにできることはまだあるはず [ヨモヤ]
書店のない市町村が全国で26.2%に上ることが出版文化産業振興財団の調査で分かった、
というニュースが流れた。
全国1,741市区町村のうち456市町村が書店の空白域となっているという。
私は、本屋さんが好きだ。
旅行に行っても、まずは本屋さんを探す癖がある。
そして、駅前の商店街に本屋さんが見当たらないとがっかりしてしまう。
だから、本屋さんがなくなってしまうのはとても残念である。
一方で、
「これでは・・・」
と思わざるを得ない本屋さんが少なくないのも事実である。
はじめて訪れた商店街に唯一あった本屋さんに入ると、
「なんだ、これは」
と沈んだ気持ちになってしまうことがある。
十年一日の店構えに、暗い店内。
どんな本を誰に買ってもらいたいのか全く伝わってこない品揃え。
なんの工夫もない陳列。
POPなどあるはずもない。
店主さんからも覇気がまるで感じられない。
こういう本屋さんを見ると、
ネットの責任にする前に、
外部環境に不振の責任を押し付ける前に、
やるべきことがあるのではないかと感じてしまう。
もちろん、本屋さんを取り巻く環境が厳しいのは十分にわかる。
ネット書店の普及のほか、
人口減少、若者減少、
新古書店の台頭、
スマホの広がりによる娯楽の多様化、などなど。
逆風だらけと言える。
しかし、時代に合わせて変化をしてこなかったツケが回ってきている面もあるのではないか。
いい本屋さんは、入るとなにかワクワクする。
ずっとそこにいたい気持ちになる。
厳しいことはとてもよくわかるけれど、
本屋さんにできることはまだまだあるはず。
そう思う。
というニュースが流れた。
全国1,741市区町村のうち456市町村が書店の空白域となっているという。
私は、本屋さんが好きだ。
旅行に行っても、まずは本屋さんを探す癖がある。
そして、駅前の商店街に本屋さんが見当たらないとがっかりしてしまう。
だから、本屋さんがなくなってしまうのはとても残念である。
一方で、
「これでは・・・」
と思わざるを得ない本屋さんが少なくないのも事実である。
はじめて訪れた商店街に唯一あった本屋さんに入ると、
「なんだ、これは」
と沈んだ気持ちになってしまうことがある。
十年一日の店構えに、暗い店内。
どんな本を誰に買ってもらいたいのか全く伝わってこない品揃え。
なんの工夫もない陳列。
POPなどあるはずもない。
店主さんからも覇気がまるで感じられない。
こういう本屋さんを見ると、
ネットの責任にする前に、
外部環境に不振の責任を押し付ける前に、
やるべきことがあるのではないかと感じてしまう。
もちろん、本屋さんを取り巻く環境が厳しいのは十分にわかる。
ネット書店の普及のほか、
人口減少、若者減少、
新古書店の台頭、
スマホの広がりによる娯楽の多様化、などなど。
逆風だらけと言える。
しかし、時代に合わせて変化をしてこなかったツケが回ってきている面もあるのではないか。
いい本屋さんは、入るとなにかワクワクする。
ずっとそこにいたい気持ちになる。
厳しいことはとてもよくわかるけれど、
本屋さんにできることはまだまだあるはず。
そう思う。