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今年も来年も給料は上がる ~ 上がり方に問題はあれど ~ [経済を眺める楽しみ]

ネットを眺めていると、
「ちっとも給料が上がらない」
「ずっと前から手取りは下がりっぱなし」
といった書き込みが目に付く。
もちろんそう書かれている方の会社ではそうなのだろうが、
一般的にはどうだろう。

厚生労働省が今年7月から8月にかけて従業員が100人以上の企業2020社を対象に調べたところ、
今年、従業員の賃金を上げたか、これから上げると回答した企業は85.7%だったという。
30%でも50%でもなく、85%。
ちなみに去年も80%。
この割合となると、
「ほとんどの企業が」
といっていいと思う。
ほとんどの企業が去年も今年も賃金を上げているのである。
ちなみに、賃金を引き下げる企業は
0.9%だったそうだ。

こういうデータが発表されると、
「大企業の数字を集計しても意味がない」
という声が必ず出される。
従業員100名以上という基準が大企業限定かどうかはさておき、
そう言いたくなるお気持ちはわかる。
おそらく、小規模な企業は苦しい経営を強いられているところも少なくないだろう。
しかし、経済の実態として一定規模以上の企業ではほぼ賃上げが行われている、
さらに来年も行われる、
という事実をとらえることは必要であるし、
そうした企業の賃金が上がらなければ中小零細とされる企業にも波及するはずはない。

もちろん、問題はその上がり方である。
日本ではずっと物価は横ばいかやや下がる傾向だったが、
今年に入って3%程度のインフレとなっている。
この状況では、例えば2%の賃上げでは実質的にはマイナスとなってしまう。
政府も、物価上昇率を上回る賃上げを求めているところだが、
このあたりは個々の企業の事情にもよる。

物価も賃金も上がらない、という時代は終わりつつある。
物価ほど賃金は上がらない、という時代になるか、
物価と同じくらい賃金が上がる、という時代になるか、
物価より賃金が上がる、という時代になるか。
いずれにしても、日本経済の風景はこれまでとは違って来そうである。
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