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勝手に選ぶ2022年映画音楽大賞 「ちょっと思い出しただけ」より「ナイトオンザプラネット」 [映画評]

年が改まったので、ぽつぽつ去年の日本映画を振り返ってみたい。
まずは、
勝手に選ぶ2022年映画音楽大賞。

いい映画は音楽も当然いいものだが、
映画自体もさることながら、
音楽がさらに心に刺さることがある。
そんな特に沁みた曲を選んでみたい。

過去を振り返ると
2020年では「君が世界のはじまり」で歌われた
「人にやさしく」
がガツンと来た。
ブルーハーツの名曲を、深夜のショッピングセンターで若者たちが歌うシーンは忘れがたい。

2020年ではもう一曲、「佐々木、イン、マイマイン」で歌われた
「プカプカ」。
河合優実さん演じる女性がカラオケボックスで一人で歌っているシーンがあるのだが、
これが耳に残って離れなかった。

2021年は、「映画大好きポンポさん」の挿入歌
「例えば」。
この映画、予告編も本編も最高という珍しい作品なのだが、
予告編で「例えば」が流れる瞬間はたまらない。

さて2022年だが、
残念ながら印象に残っている映画音楽がほとんどない。
そのためノミネートは2曲だけ。

1曲は「神田川のふたり」というちょっと風変わりな青春映画で使われた
「17才」。
高校生が歌っている設定なので、森高さんバージョンなのかもしれないが、
なんとなく南沙織さんのオリジナルの方である気がした。
ヘンテコリンな映画なのだが、ラストの多幸感は格別だった。

もう1曲は「ちょっと思い出しただけ」という恋愛映画で使われた
「ナイトオンザプラネット」。
クリープハイプの曲なのだが、この曲を作った尾崎世界観さんが映画にも出演されている。
洒落ではなく、映画の世界観にぴったりだった。

2曲しかないのだから両方大賞でもいいのだが、1曲選ぶとなれば、
「ナイトオンザプラネット」ということになる。
映画自体もよかったし、
音楽ともビタっとシンクロしていた。

そもそも「ちょっと思い出しただけ」という映画が生まれたのは、
尾崎世界観さんが
ウィノナ・ライダー主演の映画「ナイト・オン・ザ・プラネット」から着想して作った楽曲である
「ナイトオンザプラネット」に
松居大悟監督が触発されたことがきっかけとのことである。
ちょっとややこしいが。

もっともっと多くの人にご覧いただきたい映画だったが、
観たい人だけが観るタイプの映画なのかもしれない。

こちらのMVが映画の雰囲気も醸し出していて秀逸なのでよろしければ。
https://www.youtube.com/watch?v=Y_VyszSZdMc

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国立競技場は「負の遺産」か [ヨモヤ]

スポーツ庁が、東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムだった国立競技場の後利用に関する新方針を公表し、
民営化後も維持管理費として、年間約10億円を上限に公費で負担可能とすることを明らかにした。

このことが大きく取り上げられ、
新聞によっては
「負の遺産」との批判は免れない
と表現しているところもあった。

年間に10億円の経費がかかるから負の遺産。
そういうものだろうか。
国立競技場は、
オリンピックやパラリンピックで世界中の選手が集った場所である。
これからも、ここでパフォーマンスすることが一つの目標になる場所である。
経費がかかれば負の遺産だろうか。

ちなみに、国家予算は100兆円以上なので、
10億円はその0.001%である。
また、博物館や音楽ホールを所有している自治体も少なからずあり、
維持費に数億円かかることもそれほど珍しい話ではない。
国が年に10億かけたら負の遺産だろうか。

文化やスポーツに一定の費用がかかることは当然で、
それを「負」と表現することはいかがなものだろう。

国立競技場は、
そこで競技したオリンピアンやパラアスリートにとって、
生涯忘れられない場所であろう。
その場所について、開催国が「負」の存在として扱っていると知ったら残念に感じるのではないだろうか。

東京オリンピックについては、
なんでもかんでもマイナスに見たがる方が一定数おられるように思える。
そうした人たちのことを今さら変えられるとは思わないが、
そうでない皆さんは、
落ち着いて、スポーツの意味を考えて、
国立競技場の今後を見守っていただきたい。
もちろん、適切な使われ方でなければ批判されるのは当然である。

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ディープインパクトのラストクラシック [ヨモヤ]

ディープインパクトという競走馬は、
なにからなにまですごい。
現役時代の競走成績は史上最強クラスだし、
種牡馬としての成績もまた史上最強クラス。
ダービー馬だけでも
ディープブリランテ、キズナ、マカヒキ、ワグネリアン、ロジャーバローズ、コントレイル、シャフリヤールと
7頭も生み出しているのだからとんでもない。
こんな馬がまたいつか現れるだろうか。

さて、その空前の名馬ディープインパクトは、2019年に惜しまれながら亡くなった。
ゆえに今年のクラシックが彼の子どもたちが走る最後の年となる。
国内で登録されたのはわずかに6頭というから、
いやがうえにも注目が集まる。

その6頭のなかの1頭ライトクオンタムがシンザン記念を制し、
重賞初制覇を果たした。
鞍上がディープの主戦であった武豊騎手であったのもスター性を感じさせる。

シンザン記念を制した牝馬となると、
ジェンティルドンナやアーモンドアイといった歴史的な名牝が挙がる。
ライトクオンタムがそこまでの存在になれるかどうかは全くの未知数だが、
ディープファンにとって夢が広がる勝利ではあった。

ほぼすべてを手にしたと言えるディープにとって唯一の心残りは、
凱旋門賞での敗戦だろう。
産駒のキズナも涙をのんだ。
コントレイルをはじめとする後継種牡馬が父の敵をとれるかどうか、
物語は続く。

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ブルーリボン賞ノミネート作品に見る2022年邦画界の沈滞 [映画評]

第65回ブルーリボン賞のノミネート作品が発表された。
「ある男」が最多5部門6ノミネートとなったほか、
「ラーゲリより愛を込めて」「PLAN 75」「母性」が4部門にノミネートされているという。
ふむ。
そういうものかしら。

作品賞のノミネートは以下のとおりである。
「ある男」
「キングダム2 遥かなる大地へ」
「ケイコ 目を澄ませて」
「さがす」
「沈黙のパレード」
「Dr.コトー診療所」
「PLAN 75」
「母性」
「ラーゲリより愛を込めて」
「流浪の月」

大変失礼ながら、
正直なところ、華もなければワクワク感もないラインナップである。
ブルーリボン賞では、
2018年に「カメラを止めるな!」
2019年に「翔んで埼玉」
という大穴系の作品が作品賞を受賞しているのだが、
今年はノミネートの段階でそうした作品がない。
去年の「ドライブ・マイ・カー」のように、「まいりました」的な作品もないし、
「シン・ゴジラ」のように評価と興行が伴った作品もない。

「キングダム」は1の方がずっとよかったし、
「沈黙のパレード」もガリレオシリーズでは一番駄目な感じだし、
「さがす」を作った片山慎三作品では「岬の兄妹」の方がずっとよかったし、
だしだしだしだし、という感じで、
この映画に獲ってもらいたい、
この映画をもっと多くの人に観てもらいたい、
という作品がほとんど挙がっていない。

いい作品になるかどうかは時の運みたいなものがある気もするので、
やってみなければわからない的な要素があるとは思うが、
そもそも邦画においては企画が貧困である。
予告編の段階で、観たいと思わせてくれる映画がとにかく少ない。
喰わず嫌いではなく、
劇場で邦画をできる限り観ている映画ファンが心を込めて言っております。

「ケイコ 目を澄ませて」
といった佳作が選ばれているのは救いだが、
なんだかちょっと寂しい思いが募るブルーリボン賞のノミネートである。

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映画評 「かがみの孤城」 [映画評]

本作は、直木賞作家・辻村深月さんの本屋大賞受賞作をアニメ化したもの。
辻村さんの作品は次々と映画化されていて、
「ツナグ」
「朝が来る」
「ハケンアニメ!」
などがある。
「ハケンアニメ!」が最高によかったので、本作も楽しみに。

原恵一さんが監督。
代表作として「河童のクゥと夏休み」が挙げられることが多いが、
個人的にはなんといっても
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」である。

学校に行けない女子中学生の「こころ」が主人公。
ある日、部屋の鏡に吸い込まれ、
気が付くと城のような建物があり、そこには見知らぬ6人の中学生がいた、
という設定。
そこからの脱出劇かと思いきや、
鏡の中には自由に行き来ができる。
という、なんともゆるい展開であった。

結局、幾多の謎は謎のまま終わってしまう。
まあ、別にそれでいいが、
だったらもっと楽しませてもらわないと。

この映画をそのまま本にしてもとても楽しめそうにはないので、
原作はきっと別物で、もっと面白いのだと思う。
本のよさを十分には引き出せなかったのだろう。

原恵一監督作品では、2019年の「バースデー・ワンダーランド」も今一つだったし、
近作はちと相性が悪いのかしら。
オトナ帝国はいつ見ても胸が躍るし泣けるけど。

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少子化対策は叡智を結集して [ヨモヤ]

岸田首相が年頭記者会見において、
「異次元の少子化対策に挑戦し、大胆に検討を進める」
と決意を表明された。
少子化は我が国の将来を見据えたとき最大の課題とも言えるものであり、
総理が陣頭指揮を執って下さるのは頼もしい。

ただ心配なのは、政策の中身である。
詳細はこれから検討されることと思うが、
・児童手当など経済支援強化
・学童保育や病児保育、産後ケアなど全ての子育て家庭への支援
・仕事と育児を両立する女性の働き方改革の推進
の3点を中心に議論を開始する、
との考えを示された。
これらは、子育て家庭の支援にはなることと思うが、
少子化対策としての効果はいかばかりだろう。
そもそも、これらは「異次元」とはとてもではないけれど言い難い。

総理が旗を振って進める以上、
出生率を劇的に改善することを目指すものだと思う。
子育て支援を充実することで多少の改善が見込める可能性もなくはないが(これまでの実績から多くは望めないと思うものの)、
大幅に出生率が伸びることは期待薄だろう。
我が国の場合、未婚率の上昇が少子化を進めている大きな原因であり、
それに対する手立てにはなっていない気がするからである。

そこで、是非経済学の知見を少子化対策に活用してほしい。
経済学というと、銭金の勘定をしたり、損得を計算したりといったイメージがあるが、
過去の統計結果からその奥にある原因を見抜いたり、
インセンティブによる変化を研究し、行動変容を促したり、
といったことも重要な研究分野である。
近年は行動経済学にも大きな注目が集まっている。
少子化のように、数字で結果が現れるものは、親和性が高いとも考えられる。

また、新型コロナへの初期対応の際に台湾政府が試みたような、
ユーモアの活用も視野に入れてほしい。

もちろん、私などがこんなことを言わなくても、
異次元の対策の中では、経済学者などの意見も取り入れられることだろう。
ただ、「参考までに」聞く程度になる心配がある。
経済学的知見は、それはそれとして、
主に担うのはこれまでも所管していた方々となるとすると、
今回示されたような、
異次元どころか、過去の政策の延長線上にある政策しか選ばれないのではないかと危惧する。

少子化問題については、数十年間課題とされてきて、
それでも一向に解決に向かっていない。
であれば、
発想をまるっきり変える必要がある、
担っている部門や人をまるっきり変える必要がある、
と考えるのも、不自然なことではないだろう。
叡智を結集したい。

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映画評 「ケイコ 目を澄ませて」 [映画評]

ボクシング映画、と聞くと、
胸が熱くなる作品が期待される。
「ロッキー」がその典型だが、
「百円の恋」といった女子ボクシングの変化球的作品でも最後は燃えた。

本作の主人公は、生まれつきの聴覚障害により両耳とも聞こえない女性。
ホテルで働きながら下町の小さなボクシングジムで日々練習に励むという設定。
聴覚障害のある元プロボクサー・小笠原恵子さんの自伝を原案にしているという。

弱い、
若しくはハンデを抱えた主人公が、
なにかのきっかけで一念発起し、
絶対にかなうはずのない相手に勝ったり、善戦したりする、
というのがボクシング映画の王道だが、
本作はそうした流れとは一線を画していた。

映画に真摯に取り組んでいる感じが好ましいのだが、
一方で真面目過ぎる感も。
ボクシングを題材にして、興奮出来ないのはさすがに寂しい。

主演は岸井ゆきのさんで、完全に彼女の映画。
映画制作者からの絶大の支持を集めておられるようで、今年も
「やがて海へと届く」
「大河への道」
「神は見返りを求める」
「犬も食わねどチャーリーは笑う」
と出演作が相次いだ。
2022年の代表作は「神は見返りを求める」だろうか。
老トレーナー役に三浦友和さん。
このところ、渋い役での出演が続く。

本作については、評論家筋から高く評価する意見が多い。
個人的にも、しっかり映画に向き合い、きちんと作られた映画だと感じたし、
そこに好感を持った。
岸井さんの演技も見事である。
ただ、華がなさ過ぎるのも事実。
ワーワーやればいいわけではないし、
いつものパターンならわざわざ作らなくてもいいと思うのもわかるし、
撮りたいように撮ると客が必ずしも喜ぶものにはならないというのもわかるが、
やはり楽しませてももらいたい。
せめて、もうワンパンチ。

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経営者が占う今年の株価 [経済を眺める楽しみ]

日本経済新聞元旦号の恒例企画
「経営者が占う20××年 株価・景気」。
今年も、ニトリの似鳥会長、信越化学工業の金川会長、ユニ・チャームの高原社長など、
そうそうたる面々が株価や景気を予想されている。

ちなみに、これまでの日経平均株価予想についての経営者の予想平均値と結果を振り返ると、

2016年の予想は、高値22,300円 安値18,000円、
実際には、高値19,600円、安値14,800円、
2017年の予想は、高値21,750円、安値17,500円、
実際には、高値23,400円、安値18,200円、
2018年の予想は、高値25,440円、安値21,200円、
実際には、高値24,448円、安値18,948円、
2019年の予想は、高値23,925円、安値19,110円、
実際には、高値24,091円、安値19,241円、
2020年の予想は、高値25,450円、安値21,625円、
実際には、高値27,602円、安値16,358円だった。
2021年の予想は、高値28,900円、安値23,875円、
実際には、高値30,795円、安値26,954円。

といった塩梅である。

2019年がやたらと高い精度になっているが、
それ以外の年は上にも下にも外している。
ちなみに去年はどうだったかというと、
2022年の予想は、高値32,850円、安値27,175円、
実際には、高値29,388円、安値24,681円)。
強気に見過ぎていた結果となった。

元旦に記事が載るということは、
この予想を聞いているのは昨年中ということになる。
その段階で一年の株価を見通すというのは、いかに大物経営者でも不可能ということだろう。
読むほうも、当たるも八卦くらいの感じで楽しむべきだろう。

2023年予想の高値の平均は、31,200円だった。
20人中19人が30,000円以上になることを予想しており、
かなり強気に見ていることがわかる。
しかし、去年の予想も32,850円と強気だったことも忘れてはならない。

安値の平均は、25,350円。
発射台が低いだけに、去年より低い数字となった。
多くの人が3月くらいまでに安値を付けると見ていて、
年末に向けて株価は騰がると予想している。

ただし、年末に向けて株価が騰がると予想するのはいつものこと。
おそらく、しり上がりに伸びてほしいという願望も入るのだろう。
実際には、年末になれば騰がるというものではないので、こちらも注意が必要。

株価については、一年後どころか、明日のこともさっぱりわからない。
だから、予想は予想として、
当たるか当たらないかではなく、
そういう考えもあるね、
という感じで参考にとどめておくべきだろう。

相場格言どおり、
「卯は跳ねる」
という年になればいいのだが。

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ここのところで読んだ本 [読書記録]

ここのところで読んだ本は以下のとおり。

「まちづくり仕組図鑑」
「リスクを考える」 吉川 肇子
「平穏死のすすめ」 石飛 幸三
「勝ち続ける経営」 原田 泳幸
「戦略プロフェッショナル」 三枝 匡
「サラリーマン合気道」 箭内 道彦
「いまさら聞けない病院経営2」 小松本 悟
「病院経営が驚くほど変わる8つのステップ」 濱川 博招
「孤独の教え」 ヘンリー・D・ソロー
「映画監督になる方法 13の実践的アイデア」 曽根 剛
「更級日記」 平塚 武二
「猪木と馬場」 斎藤 文彦
「経営パワーの危機」 三枝 匡
「教養としてのロック名盤 ベスト100」 川崎 大助
「こうすれば絶対よくなる!日本経済」 田原 総一朗、藤井 聡
「壁を打ち破る34の生き方」
「0から1をつくる」 本橋 麻里
「パワハラ・いじめ職場内解決の実践的手法」 金子 雅臣
「仕事の技法」 田坂 広志
「健康格差」 NHKスペシャル取材班
「スゴい営業の仕組み」 武蔵原 一人
「人勢塾」 金井 壽宏
「逃げない 13人のプロの生き方」 小松 成美
「企業理念開発プロジェクト」 足立 光正
「不動産投資にだまされるな」 山田 寛英
「決算書ナゾトキトレーニング」 村上 茂久
「人間というもの」 司馬 遼太郎
「実践行動変容のためのヘルスコミュニケーション」 奥原 剛
「パワハラ管理職の行動変容と再スタート」 樋口 ユミ
「アイデアは考えるな。」 柳澤 大輔
「受け月」 伊集院 静

曽根剛さんの「映画監督になる方法 13の実践的アイデア」は、13人の映画監督の皆さんがそれぞれの思いを実現していく過程をレポートしている。皆さん、いい映画をお願いします。

「0から1をつくる」を書かれた本橋麻里さんは、カーリングチームの「ロコ・ソラーレ」を立ち上げられた方。ビジネス書として面白い。

伊集院静さんの「受け月」は、野球をテーマにした短編集。泣けます。

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映画評 「近江商人、走る!」 [映画評]

滋賀県出身の映画ファンである私としては、
このタイトルの映画を見逃すわけにはいかない。

時代は江戸時代の享保年間。
舞台は近江の国は大津の米問屋。
務めている店の一大事に、
知恵とチームワークで挑む丁稚の話。

という設定はなかなか面白そうなのに、
ドタバタコメディにしてしまい、
味もコクもなにもなく。
江戸時代の話なのにアイドルのオタ芸を持ってきたりと、
わざと時代設定をずらす手法はアイデアのない時代劇に定番の展開。
このパターンで成功している例をほとんど知らない。
脚本を詰めている段階では、
「それ、面白い!」
とかなるのだろうか。

真面目に作っていたら、いい映画になった可能性もあったのに、
本作は自らそれを放棄してしまっている。
近江商人、と掲げているからと期待して観に行った身にはこれはしんどい。

主演の上村侑くんは、どこかで見た顔だと思っていたが、
『許された子どもたち』で、こちらも主演していた役者さんだ。
少し見ないうちに青年になられた。
共演に、森永悠希さん、真飛聖さん、黒木ひかりさん、前野朋哉さん、田野優花さんら。
みなさん、ちゃんと脚本読んでからOKしたのかしら。

「近江商人、走る!」は、残念な時代劇。
あれもこれも間違っているように感じた。
コメディならコメディに、せめてしっかり振り切ってもらわないと・・・。
いつかちゃんとした近江商人の話が観たい。

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