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映画評 「リバー、流れないでよ」 [映画評]

去年、「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」
という映画が公開された。
低予算で、有名な俳優は使わず、アイデア中心に撮られた作品で、
一部では「第二のカメ止め」になるかと注目された。
私も楽しく観たが、もうワンパンチ欲しい気がした。

今作も、「第二のカメ止め」という呼ばれ方をしている。
タイムループという仕掛けも「MONDAYS」と同じ。
ゾンビ、タイムループというのは、低予算アイデア一発勝負に適しているのだろう。

それなりの話題となり、クチコミ効果もあってお客さんも入っているようだが、
カメ止めほどのムーブメントにはなっていない。
面白いのだが、ズキュンとまでは来ないのがその原因だろうか。

映画の舞台は、京都・貴船にある老舗料理旅館。
このしつらえがいい。
ここに行ってみたいと強く思う。
まあ、それはそれとして、
映画では2分間のタイムリープが繰り返される。
たったの2分間。
1日とか1週間とかはあるが、2分間。
さらに、登場人物がみな時間が繰り返されていることを認識している。
ここもこれまでにはあまりなかった設定。

劇団ヨーロッパ企画を主宰する上田誠さんが原案と脚本を手掛ける。
2分間が延々と繰り返されるなかで、
ちゃんと話を進め、盛り上げていく脚本が素晴らしい。
役者さんたちの演技は芝居っぽいと言えばそうなのだが、
この映画ではちょっと大げさな感じが似合っていた。

最初から最後まで楽しく観ることができ、
脚本の練られ具合、
それを活かした演出の見事さ、
撮り切ったカメラワークなどに感嘆した。
面白かった。

ただ、「カメラを止めるな!」は、思い切り面白いうえに、
ものづくりへの情熱、
親子愛、
などが絶妙に盛り込まれていたため、
笑いが感動にまでつながったのだが、
本作ではそこには至らず。
もうワンパンチ、もう一要素、もうひとひねり、もうひと驚き、あれば。
十分に面白かったけれど。

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