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映画評 「HURRY GO ROUND」 [映画評]

元X JAPANのギタリストで、ソロとしても大活躍したhideさんが亡くなって20年。
映画「HURRY GO ROUND」は、hideさんの没後20年プロジェクト「hide 20th Memorial Project」の一環として製作されたもの。
正直なところ、私はXのファンでも、hideさんのファンでもなかったが、どんな人生を送られたのか知りたくなって観に行った。
ちなみに、「HURRY GO ROUND」とは、hideさんが残した最後の楽曲のタイトルである。

本作はドキュメンタリーだが、俳優の矢本悠馬さんがナビゲーターを務める形式になっており、映画っぽい演出も多少は見られる。
しかし、残念ながら、上質なドキュメンタリーという感じはしない。
hideさんの足跡を振り返ってはいるが、焦点は絞られず、とっちらかった印象で、何に迫りたかったのかは伝わってこない。
石川智徹監督は、YOSHIKIのテレビドキュメンタリーなどを手掛けてきた方らしいが、今回のテーマで映画を仕上げるには荷が重かったのだろうか。

観た人のレビューを読むと、ナビゲーターの矢本さんの態度が気に入らない人が多いようだ。
煙草の吸い過ぎや言葉遣いが癇に障ったらしい。
矢本さんといってもご存じない方も多いだろうが、「ちはやふる」ファンとしては、大事な仲間の一人。
肉まんくん役として、重要な役どころをしっかり演じてくれた。
確かに、hideさんのファンからすれば、何も知らない人間に偉そうに語られるのは癪に障るのだろう。
私は、肩を持つわけではないが、矢本さんがどうこうというより、彼をキャスティングした側と、演出した人に咎があると思う。

映画では、hideさんの死が自殺だったのか、事故死だったのかを探っている形になっているのだが、結論ありきのように感じられ、真実に迫っていく高揚感はない。
本気で自殺だったかどうかを探るのなら、現場の状況を確認するなど、他のやり方がいくらでもあったはずで、その方向に真剣に取り組まれた形跡は全く見られない。
人となりに迫りたかったのなら、それはそれで他のやり方がいくらでもあったように思う。

本作は、基本的にはhideさんのファン向けに作られた作品であろう。
しかし、hideさんのファンで、本作に納得される方は、ごく少数だと思う。
没後20年の節目に作られたものとして、ファンに刺さるものとは到底思えない。
特別料金2,000円だったのだが、何が特別だったのかよくわからない。

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