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映画評 「恋は雨上がりのように」 [映画評]

去年観た映画の中で「帝一の國」は出色の出来栄えだった。
本作は、その「帝一の國」永井聡監督の新作ということで、いやがうえにも期待は高まる。
しかし、同じく昨年公開された「亜人」が痛快だった本広克行監督の次作「曇天に笑う」が惨憺たる作品だったりもしたので、油断はできない。

例によって、というか、日本映画の多くがそうであるように、本作もコミック原作。
さえないバツイチ子持ちのファミレスの店長に心を奪われた女子高生とのラブストーリー。
コミック原作で、この設定で、主役が大泉洋さんだから、当然映画は軽妙な感じで進む。
結構序盤で、小松菜奈さん演じる女子高生が店長に告白するのだが、その後もたれることなく映画は進む。
キュンとするところや、くすっとするところや、「いるいる」という人物を交えながら、快調である。

この題材で、この展開なら、山あり谷ありにしようと思えばいくらでもできただろうに、映画はかなり抑制されたトーンで進む。
なんだか物足りなくはあるが、不快ではない。
しっかり作っているなあ、と好感が持てる。

そのままスルスルと映画は終わってしまい、爽やかな気持ちにはなったが、大泉さん演じるおっさんが、もう少しギトギトしてもよかった気はする。
若い子からガチで告白されたら、もっと舞い上がるでしょう。
もっと邪になるでしょう。
そこは、もう少し人間ぽくてもよかった気がした。

主演の大泉洋さんは、相変わらずの安定感。
大泉さんが出る映画は締まる。
小松菜奈さんのスタイルのよさが、この映画の設定にピッタリ。
ちょっとずれた女の子役もはまっていた。

他の出演者は、清野菜名さん、葉山奨之さん、松本穂香さん、山本舞香さん、濱田マリさん、吉田羊さんら。
松本穂香さんは、テレビドラマ「この世界の片隅に」で主演されるらしいが、本作でもなかなか印象深い演技をされていた。
濱田さんは相変わらずいい味。
吉田羊さんは、なんだかもったいない使われ方をされていた。

「恋は雨上がりのように」は、爽やかな作品。
心地のいい余韻が残る。
小松菜奈さんファンは必見。
大泉洋さんファンにもボチボチ。
カップルはもちろん、親子連れでも安心して観に行ける。
ただ、「帝一の國」的エクスタシーを期待するとすっかり肩透かしになるのでご注意を。

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