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「子育てにお金がかかる」という気持ちの本当のところはどこにある? ~赤ん坊より大切なもの~ [ヨモヤ]

子育てにはお金がかかる、というのが国民的なコンセンサスになっている。
そりゃ、まあ、人ひとり育っていくのだから、かからなくはない。
しかし、
豊かな時代になり、
食べるものも十分ではなかった時代と比べれば、ずいぶんと余裕があるはずである。
世界的にみても所得は多く、教育環境も整っている状況にあり、
他の国と比べれば、恵まれた立場にいるはずである。

だから、子育てにお金がかかる、のは事実であるとして、
それが子供を産み育てる障害になっているのには、少し別の事情があるのではないかと思う。

ベネッセ教育総合研究所と東大・発達保育実践政策学センターが、
「乳幼児の生活と育ちに関する調査2017」
を公表した。
これによれば、
母親の約74%は「子どもをもっとほしい」と考えているという。
特に、現在子ども1人の母は約90%が次の子を望んでいるという結果らしい。
90%となると、ほとんど全員という感覚である。
では、なぜ2人3人と産まないのか。

この調査では、「子どもをもっとほしいが難しい」と考える母親にその理由を尋ねている。
すると、
「子育てや教育にお金がかかる」約81%
「子育ての身体的な負担が大きい」約50%、
「子育てと仕事の両立が難しい」約37%
と続いたという。
子供がほしい気持ちはあるが、お金がかかるから難しい、と答える人が8割以上いるということである。
子沢山だった時代よりずっと裕福になり、
世界有数の経済大国になったにも関わらず。

「いやいや、国民はちっとも豊かになっていない。年収が300万円未満の世帯もざらにある」
と反論したくなる方もおられるかもしれないが、この調査は世帯年収別の結果も出ている。
「お金がかかる」を選んだ人を世帯年収別にみると、
「600~800万円未満」でも約78%、
「800万円以上」でも約68%が金銭的な理由を挙げているというのである。
年収800万円以上となると、月給50万円にもなろうかという、かなり上位の所得層である。
それでもお金の心配をされている。
つまり、
「収入が少ないから子育てにかかるお金が払えない」
という図式ではない。

これは、どういうことだろう。

1990年に発表された岡村靖幸さんの名盤「家庭教師」に「祈りの季節」という曲がある。
この曲のなかで岡村さんは、
戦後の頃より大金持ちなのになぜ子供を産まないのか、と疑問を呈している。
30年も前に、少子化に警鐘を鳴らしていた岡村さんの感性はさすがというべきだろうか。
そして岡村さんは、簡単に親にならないのは、
「赤ん坊より愛しいのは自分だから?」
と問いかけている。

周りから見れば、十分にお金を持っているようでも、お金がかかるから子供をあきらめると思う方が多い。
どういうことか、よく考えたい。
少子化対策を考えるうえで、重要なヒントがあるような気がする。
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