映画評 「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」 ～ おススメです ～

映画館によって、流される予告編も違う。
そのため、テレビなどで大々的に宣伝していない作品については、見過ごしてしまうことも少なくない。
本作「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」もそんな映画の一つ。
知らない間に公開されていた。
ではなぜ知ったかというと、ネットでやたらと高い評価を受けていたから。
ネットの評価が当てにならないのはよく知っているが、ものは試しである。

もとは、ブログであるらしい。
突然会社を辞めた父の本音を知ろうと、正体を隠して「ファイナルファンタジーXIV」を共にプレイする息子とその父の様子を描く、
というもの。
私はファイナルファンタジーのみならず、ゲームからは全く縁遠いのだが、設定はごくわかりやすく、すぐに映画に入り込める。
基本コメディであり、そのように演出もされているので、現実的には「あれ？」と思えるところもすんなり観ることができる。

常に先が予想できるベタベタの展開なのだが、
それが嫌ではない。
期待どおりに話が進むことの快感の方が勝る。
主演の息子役の坂口健太郎さんも、お父さん役の吉田鋼太郎さんも、
お母さん役の財前直見さんも、妹役の山本舞香さんも、
実にわかりやすい人物設定であり、わかりやすい演技をしておられる。
この映画ではそれでいい。
坂口さんの職場の先輩役の佐藤隆太さんの無意味な明るさも心地よい。
ゲームパートでは、アバターの声を声優さんが演じているのだが、それもいい効果を上げていた。

最後の最後まで甘々な展開で、
「んな奴あ、いないよ」
「どんだけお約束なんだ」
とツッコミたい人も多々おられるだろうが、これでよかったと思う。
もちろん、もうひとひねりあれば良作から傑作へ駆け上がる可能性もあったとは感じるが、そこまで求めることもない。
十分に楽しめる映画だった。

「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」は、肩の力を抜いて楽しめる娯楽作。
コメディだが、学園キラキラものよりはキチンと作られているから、苦笑しながら観ることもない。
劇中で演じられるコメディアンのコントも結構面白い。
もちろん、ファイナルファンタジーを知らなくても十分楽しめる。