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映画評 「薄暮」 [映画評]

本作は、東日本大震災の復興プロジェクトとして被災地3県を舞台にしたアニメ作品。
『blossom』、『Wake Up, Girls!』に続く、「東北三部作」の最終作という位置づけらしい。
と言われても、どちらの作品も知らないのだが。

ほかの映画を観に行ったのだが満席で入れず、まさにぶらっと入ったのがこの映画。
後で調べるといろいろといわくの付いた映画であり、
本来は2018年公開のはずが今年にずれ込んだのだそうだ。
資金をクラウドファンディングで集めたのだが、約束どおりに作業が進まず、
今年春の試写会でもちゃんとした作品になっていなかったのだという。
それを重く受け止めた山本寛監督は、
「自らのプロとしての責任、特に納品責任を重大に受け止めまして、『薄暮』を最後にアニメーション業界から廃業することにいたします」
と宣言されている。
おや、まあ。

まあ、どんないわくが付いていても、作品が面白ければそれでいいのだが、おやまあ。
50分ちょっとの小品なのだが、
映画にするような内容とは思えない。
福島を舞台としていて、原発がらみの流れもあるのだが、
それも申し訳程度。
ストーリーには、根も幹も見えず。
監督の廃業宣言も、なんとなくわかる。

資金集めの方法として、クラウドファンディングが広がっている。
いいことだと思うが、出来上がってみないと作品レベルがわからないという恐れがある。
「この世界の片隅に」という最良の成功例があり、
これからも次々に出てくるだろうが、
当たるも八卦当たらぬも八卦、という面があることは覚悟する必要がある。
本作は、残念な場合の一例となってしまった。

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