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映画評 「弱虫ペダル」 [映画評]

日本映画と言えば漫画作品の映画化。
私は未読だが、「弱虫ペダル」と言えば相当な人気タイトル。
主演にジャニーズ、共演に伊藤健太郎くんと橋本環奈ちゃんを配し、手堅い商売。
しかし、作品の質はと言えば深くため息。
「はあ」
まあ、よくあることだが。

とにかく、キャラクターが全く立っていない。
King & Princeの永瀬廉くんが演じる主人公は、友達が欲しくて自転車を始めるのだが、
どうしてそれまで友達ができなかったのか、どうしてそこまで友達が欲しいのか、
さっぱり描かれない。
やたらと上り坂に強いのだが、その理由が遠い道を通っているから、だけでは、なんとも。
伊藤健太郎くん演じるチームメイトは、何か大きな挫折を経験しているようなのだが、その描き方も通り一遍。
観ている側にはさっぱり届かない。
橋本環奈ちゃんの役どころは、この映画ではおまけのようなもので、実にもったいない。

自転車で走っているシーンが多く、それはそれでいいのだが、
人物の背景がまるで伝わってきていないので、感情移入は全くできない。
ほとんど演奏シーンで見せ切りつつ、登場人物の心象もしっかり描いた「蜜蜂と遠雷」とは大違い。
クライマックスのレースシーンも、何がどうなったら勝利なのか、どんなライバルがいてどんな因縁があるのか、といった情報さえも提示されないので、いったいどうゆう気持ちで観ればいいのやら。
一から十まで困ったものだった。

主演の永瀬廉くんは、頑張っているのはわかるが、終始同じテンションの演技で響くものはなかった。
共演の伊藤健太郎くんには、旬な俳優のオーラが見えた。
橋本環奈ちゃんは、大ヒット中の「今日から俺は!!」に続いての伊藤くんとの共演。
今回はしっかり者で、相変わらずいろいろな役をこなしている。
先週公開されたばかりの「ぐらんぶる」で、裸満載のおバカ演技を披露していた竜星涼くんが、本作ではクールなキャプテン役。
どんなに渋く決めても、頭には裸がちらつくのはやむを得ない。

「弱虫ペダル」は、俳優ファンのための映画。
ネットのレビューを見ると、大いに楽しまれたファンもいるそうなので、おめでたいことである。
映画ファンの人は、冷静に観ていただければと思う。
ゆめゆめ掘り出し物かも、などと期待召されませぬよう。

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