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4-6月のGDP年率27.8%減に思う [経済を眺める楽しみ]

内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比7.8%減、
年率換算では27.8%減だった。
減少率は2009年1~3月期(前期比年率17.8%減)を超え、史上最大。

普段は、GDPがプラスになるかマイナスになるかで一喜一憂している。
マイナス0.3%でもプラス0.2%でも、たいして変わらないだろうと思えるが、
その誤差のような違いでマイナス成長、プラス成長と騒いでいる。
そこからすると、年率3割近い減少というのはとんでもない数字である。
しかし、意外性はない。
経済活動を意図的に止めていたのだから、こうなるに決まっている。
市場も平静に受け止めた。

消費については6月くらいからかなり戻ってきている。
ただ、インバウンド需要は消失しているし、
世界中がコロナ禍にあるなかで外需の盛り返しも期待しづらい。
7-9月期は4-6月期と比較すれば戻すだろうが、力強さには欠けるだろう
これも、ある程度はやむを得ない。

ちなみに4-6月期の他の地域の年率換算のGDP成長率を見てみると、
アメリカがマイナス32.9%減、
ユーロ圏がマイナス40.3%減。
イギリスに至ってはマイナス59.8%減。
これらと比較すると、日本はややましだったとわかる。
中国はプラス成長に転換したというが、中国の統計には疑義がなくはないと見なされている。

今回の報道で改めて思うのは、GDP速報値が出されるタイミングの遅さである。
中国は7月16日に発表し、
アメリカやユーロも7月中には発表した。
それが日本では8月の半ば過ぎになってしまう。
中国やアメリカの国土の広さ、ユーロの多様性、などを考え合わせると、
日本が最も有利なはずがこの遅さはどうしたものだろう。
しかも、この速報値が大幅に修正されることがしばしばだから、正確でさえない。
コロナ禍で、日本のデジタル化の遅れが明らかになったが、統計調査にも表れているようだ。

また、今回の日本のGDPを報じるに当たって、
併せてアメリカやユーロの数字を伝える報道がほとんど見受けられなかったことにも違和感を覚えた。
日本の落ち込みが過去最大であることをこぞって報じているが、
それは世界中同じである。
なぜその点を伝えないのだろう。
理由があるのだろうか、それとも他国の状況を伝えることを思いつきもしないのだろうか。

4-6月期の落ち込みはやむを得なかったと思うが、7-9月期以降は各国の力が試される。
日本も、悪役をこまめに探すのではなく、一人一人がなすべきことを積み重ねていきたい。
経済を回すことを目的化するのではなく、
働いている人を大切にしたい。
スポーツや芸術を守り続けたい。

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