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映画評 「宇宙でいちばんあかるい屋根」 [映画評]

去年1月に公開された藤井道人監督の「デイアンドナイト」は、人間の二面性、善悪を区別する難しさなどを表現した問題作だった。
しかし、6月に公開された同監督の「新聞記者」は、出来のひどく悪いパロディのようでがっかりした。
「新聞記者」は多くの映画賞を受賞したが、「デイアンドナイト」ではなくそちらが評価されることについて、私は納得できない思いを抱いた。
藤井監督自身はどうなのだろう。
今後、藤井監督は「『新聞記者』の」という枕詞を背負い続けることになる。
本人が好むと好まざるに関わらず。

本作は、その藤井監督の新作。
14歳の中学生・大石つばめと、謎の老女「星ばあ」が過ごす夏の日々を描く物語。
9月に入ってからの公開だが、まだ十分に暑いので、夏の物語が似合う。

主人公の中学生を清原果耶さんが演じる。
清原さんの実年齢は18歳。
ちょっと中学生の設定には無理があったか。
星ばあ役は、桃井かおりさん。
桃井さんの場合、10年前でも20年前でも、10年後でも、しっかり婆さん役をこなされただろう。

ほのぼのしたいい話なのだが、なんともありがち。
女の子の悩みも、こじんまりとしていて、かつ定型的。
後味のいい映画なのだが、驚きがない分、すっと流れてしまう。

「宇宙でいちばんあかるい屋根」は、文部省特選的作品。
ツルツルしたおとぎ話のような。
桃井さんが印象的ではあるが、そちらも期待の範囲内。
安心して観られると言えば、そのとおりだが。

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