SSブログ

映画評 「人数の町」 [映画評]

なんだか一風変わったタイトル。
初監督作品。
主演が中村倫也くんで共演に石橋静河さん。
なにやら不穏な空気が漂う。
カルト的な問題作か、語り継がれるB級映画か。

前半、予想どおりというべきか、奇妙な世界が描かれる。
ディストピアと言われるような光景だが、実にうらやましくもある生活ぶりである。
「人数の町」の意味は、割と序盤で判明するが、
ヒロインのはずの石橋さんがなかなか登場しない展開にも興味をそそられる。

しかし、そこまで。
中盤から後半はハチャメチャ、グズグズ。
しかも、ラストがあらあら。
こんななっちゃうか~、という感じである。
映画としてちゃんと成立していないので、
現代社会への風刺、みたいなものもないではないのかもしれないが、
刺さってくるものはまるでなし。

中村くんは、中村くんらしく好演。
心優しく、素直で、でもだらしない駄目人間を、すっと演じていた。
石橋さんは、「夜空はいつでも最高密度の青色だ」以来応援しているのだが、本作ではよさが全く出なかった。
脚本があまりと言えばあんまりだ。
お二人とも、こうした作品に出ようとされるあたりに映画への熱を感じるが、
出来上がったものを観てしまうと、仕事を選ぶ必要も感じておられるかもしれない。

「人数の町」は、残念な作品。
娯楽作として楽しめるわけでもないし、
カルト作品として印象に残るわけでもない。
それを目指したのだろうけれど、
ちょっとへんてこだけれど、それだけ。
もうひと踏ん張りすれば別の段階に行けたのに。

タグ:人形の町
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事