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世界景気はここからのさらなる落ち込みより長期の低迷が危惧される [経済を眺める楽しみ]

コロナ禍は経済に大きな打撃を与えている。
しかし、全業種に同じようにダメージを与えているわけではなく、
特定業種に偏った影響が出ている。
深刻なのは、航空、鉄道、観光などであり、
飲食業のダメージも深い。
一方、スーパーやドラッグストアなどは好調だし、
IT系の企業も業績を伸ばしている。

全体の落ち込みは、4-6月期を底にして、かなり戻りつつある。
経済協力開発機構(OECD)は、今年の世界経済成長をマイナス4.5%成長と見積もり、
6月時点の予測のマイナス6%成長より小幅な落ち込みとなる見込みに変更した。
先が見えない落ち込みが続く、というわけではなく、回復の道筋は見えているといったところだろうか。
一時お先真っ暗となったリーマンショック時とは少し違う。
落ち込みの激しさは今回の方が上だが。

地域別には、
6月時点はマイナス7.3%成長予想だったアメリカはマイナス3.8%成長に、
同じく6月時点はマイナス9.1%成長予想だったユーロ圏はマイナス7.9%成長に、
それぞれ引き上げられた。
アメリカとユーロではアメリカの回復が際立つ予想となっている。
日本は、6月時点マイナス6%成長予想から、マイナス5.8%成長にわずかながら改善。
しかし、他地域と比べると回復の足取りが弱いと見られている。

心配なのは一部の新興国。
中国経済は今年からプラスになると見込まれているが、
インド経済はマイナス10.2%と大幅な縮小が見込まれている。
アルゼンチンやメキシコ、南アフリカ共和国などの見通しも悪化した。

さて、今年の4-6月期の落ち込みはやむを得ず、
7-9月期はそのリバウンドで戻ることも織り込み済み。
問題は、その先である。
OECDは、景気の落ち込みから完全に回復するには時間がかかると警告している。
具体的には、多くの国・地域が2021年末まではコロナ危機前の水準を下回り続けると予想した。
つまり、あと1年以上は元の水準に戻り切らないということである。

全体としては、仕方がない、と割り切るしかないかもしれないが、
影響を大きく受けている業種としては、この状況がさらに1年続くとなると、
あまりにもしんどいだろう。
マクロの景気対策とともに、ピンポイントで支える政策も必要になってくるかもしれない。
ここで発足した菅政権の腕の見せ所であるが、
政府にばかり頼っていてもいけないことも今回のコロナ禍で学んだことである。
人任せにせず、考えなければ。
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