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書評 「私たちの世代は」 [読書記録]

本作は、「戸村飯店 青春100連発」「あと少し、もう少し」「そして、バトンは渡された」などの
瀬尾まいこさんの最新作。
書下ろし長編である。

コロナ禍をテーマにした小説で、
「私たちの世代」はコロナに漬からされてしまった世代のこと。
帯には著者からのこんなメッセージが掲載されている。

“何かと制限され思いどおりに過ごせない毎日を、大人も子どもも、誰しもが
困難を抱えながら進んできたと思います。
そして、これから、また違う日々に向かわないといけない中で、ほんの少しでも
明るいものを差し出せる物語になれれば。そう思っています。“

コロナ禍の3年間で、
本来得られるはずのものを得られなかった人は少なくないだろう。
大人はまだいいが、
中学生活をまるまる、
高校生活をまるまる、
コロナに持って行かれた子どもたちも数多くいるはずだ。
失われたものは計り知れない。

しかし、それをくよくよ考えていても前には進めない。
差し引きしたら悪いことの方が圧倒的に多かっただろうけれど、
いいことだってあったはずだ。
そしてそのいいことが、
未来に大きく活かされることだってあるかもしれない。

瀬尾さんの本を読むと勇気づけられることが多いが、
本作も力をもらえる。
みんな懸命に生きていて、
どこかで支え合っている。
悪い日があっても、
挫けそうな日があっても、
いつかいい日が来る。

一日一日が愛おしく思えるような、
そんな一冊。

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