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ちょっと驚きの全米自動車労働組合(UAW)の要求内容 [ヨモヤ]

全米自動車労働組合(UAW)が、米自動車大手3社の工場などでストライキを行っている。
自動車大手3社とは、GM、フォード、ステランティス。
ステランティスには聞き馴染みがない方が多いと思うが、
フランスのPSAとイタリアとアメリカのフィアット・クライスラー・オートモービルズが合併して生まれた会社である。
なんでも、3社の組合員が同時にストをするのは初めてなのだそうだ。

UAWの要求は、
・新たに雇用された労働者の賃金を低く設定する、従業員を二分する給与体系の廃止
・賃金をインフレ率と連動させる生計費調整の導入、
・4年間で36%の昇給
・週32時間労働
・電気自動車(EV)への移行に伴う雇用の確保
など。

もちろん、いろいろな経緯があっての要求なのだろうが、
どれもハードルが高そうに見える。
昇給で言えば、
要求が実現すれば賃金と手当を含む1時間当たりの人件費が150ドル強に達するのだという。
(現在は64ドル)
これはいわゆる時給とは違い、福利厚生費やら何やらが含まれているものだとは思うが、
それはそれとして単純計算すると、、
150ドルというと1ドル150円として、1時間22,500円、
1日7時間働くとして約16万円、
220日働くとして年間では約3,500万円になる。
これはさすがに企業側としても飲めないところだろう。

GMは賃上げ案として20%を提示したそうだ。
会社側はこの提案を
「従業員に報い、将来に備え、会社の成功から全員が利益を得られるよう利益分配プログラムを継続する歴史的な提案」
とし、
派遣労働者の賃金は時給20ドル(約2950円)に引き上げられるという。
悪くない回答にも見えるが、組合側に一蹴されてしまった。

労働組合側の危機感もわかるが、
企業側としてはテスラなど新興メーカーとも戦っていかなければならないなか、
人件費の上昇を一定以内に抑えたい気持ちが働くのも理解できる。

大統領選挙も絡み、今回のストライキは長期化の様相を呈している。
労働者が強気になる背景には、アメリカ景気の底堅さもあるのかもしれない。
アメリカの自動車産業にそこまで余裕があるようには思えないのだけれど。

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