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映画のキャッチコピーにプライドを求めたら反則? ~「涙する」をスルッと使う感覚に「?」~ [映画評]

その映画を観るか観ないか、
皆さんは何で決めておられるだろう。
監督さんだろうか、出演者だろうか、クチコミだろうか。
コナンのような人気シリーズなら、はじめから観ると決めておられる方もいるだろうし、
ヒットした漫画や小説が原作の場合、そちらのファンの方が足を運ぶことも多いだろう。

予告編、という方もおられると思う。
予告編は面白かったのに本編は全然面白くなかった、
という作品は山ほどあるが、
予告編は全然面白くなかったのに本編は面白かった、
という作品は少ない気がする。
それはそれとして、予告編は大切。

では、キャッチコピーに惹かれて、という人はどのくらいおられるだろう。
あまりおられないのだろうか。

映画のキャッチコピーといえば、やたら古い映画になるが、
「サスペリア」というホラー映画の
“決してひとりでは見ないでください”
が思い出される。
流行語のようになったこのコピーに引き寄せられて映画館に行った人もいるだろう。

個人的に、あまりにも酷いコピーとしていまだに覚えているのが、
2016年に公開された「64 ロクヨン 後編」。
キャッチコピーは、
“映画史に残る傑作の誕生”。
そこまで言うくらいなのだからと期待してしまったら、あんまりな作品だった。
こんな極端な自画自賛の、
ほとんど詐欺のようなキャッチコピーは二度とあってはならないと思う。

さて、ありがちなキャッチコピーの代表は
「ほにゃららに涙する」
というもの。
あまりにも使い古されているし、あまりにも安易なので、
今さら使われることもなかろうと思うと、さにあらず。
これから公開される映画にも何食わぬ顔で使われている。

10月公開予定の二宮和也さん主演の
「アナログ」では、
“愛する人を想い続ける心に、涙する。”

12月公開予定の福原遥さん主演の
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」では、
“時を超えた愛に、あなたもきっと涙する。”

キャッチコピーを考える人も大変だろうとは思う。
すでに、言葉という言葉が使われ尽くされた、と感じることもあるだろう。
しかし、そのなかで言葉を紡ぐのが使命であろう。
新しい脈絡で使われるのならまだしも、
ごくありがちなフレーズの締めで「涙する」はいくらなんでも。
映画会社も、監督も、これでいいのだろうか。
これでいいと思っているとすると、
映画の出来も非常に心配になる。

キャッチコピーも映画の一部。
魂込めた一行をお願いします。

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