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映画評 「さよなら ほやマン」 [映画評]

タイトルや紹介画像を見るといかにもB級コメディっぽいが、
実際はちゃんとした映画。
シリアスとまでは言わないが、
軽妙なストーリーに、過疎、障害、震災などを織り込み、
本作が長編デビューという庄司輝秋監督の思いが詰まった映画となっている。
ロケ地の宮城県石巻市は監督の故郷であるというから、気合の入り方もひとしおであろう。
映画の成功失敗はやってみなければわからないところがあるが、
熱い思いを胸に作られた作品を観るのは楽しみ。

ネットで公開されているストーリーはこんな感じ。

豊かな海に囲まれた美しい島で一人前の漁師を目指すアキラと、生まれつき障がいを抱える弟のシゲル。両親は行方不明で莫大な借金を抱えているが、どうにか暮らしている。そんな彼らの前に、都会からやって来た訳ありの女性漫画家・美晴が現れる。美晴は兄弟に彼らの家を売ってほしいと言い出し、3人はなぜか一緒に暮らすことになるが……。

主人公を演じるのは、2人組バンド「MOROHA」のMCアフロさん、その弟役に黒崎煌代さん。
女性漫画家役に呉城久美さん。
失礼ながら三人とも知らなかったが、気持ちのこもった演技をされている。
スタッフ・キャストともに、期するところがあったのだと思う。
映画制作、そう来なくっちゃ。
津田寛治さん、松金よね子さんが脇を固める。

終盤、女性漫画家と島で暮らし続けている役の松金さんの絡みがある。
受け身で暮らしているように見えた島育ちの女性の強さが垣間見えるシーンで、
セリフも冴えている。
ここが最大の見せ場。

しかし、作品全体として観ると、なんとも。
漫画家の行動が突飛すぎるし、
兄弟の行動も今ひとつ説得力がない。
島の人たちとのつながりももう少し描いてくれないと。

この映画は成功しているのか、失敗だったのか。
正直、なんとも言えない。
ただ、熱は伝わってきた。
何にも感じさせてくれない日本映画が多いなか、
熱い映画が届けられたことは、それだけで嬉しかった。

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