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景気の「悪化」はあらかじめわかっていたこと ~ 問題はこれから先 ~  [経済を眺める楽しみ]

内閣府が3月の景気動向指数速報値を発表し、月単位の景気基調判断が「悪化」に下方修正された。
基調判断が「悪化」となるのは、2013年1月以来ということもあり、
消費税引き上げの見送り、
衆議院の解散、
といった観測も伴って、ちょっとした騒ぎになっている。

近年はずっと経済は「回復している」とされてきたので、
「悪化」の方向に振れることが大きく報道されるのはわかる。
しかし、2018年の後半から2019年の前半にかけて経済活動が鈍化していたことは、
すでにあちこちで指摘されていたから、今回の発表に意外性はない。
予想どおりの結果が出たな、くらいの感じである。

ただし、4月以降は回復の方向性と思われていたが、直近の米中の貿易協議で、それも怪しくなってきたのはやや誤算である。
超大国同士となったアメリカと中国の対立はシャンシャンでは収まらない。
トランプ大統領の無理な要求が交渉を難しくさせているようなイメージがあるが、
大統領の個人的に思惑からではなく、
アメリカという国家が中国との競争に立ち向かっていると考えるべきだろう。

さて、消費税はどうなるだろう。
常識的には、2019年度予算が可決されている今の段階で10月の増税を撤回するのは、
手続き的にも、法的にも、
かなり難しいと言わざるを得ない。
景気後退は歓迎できる話ではないが、この程度で撤回するのでは、
これまでの準備は何だったんだという感じでなる。
私は消費税増税については慎重であるべき、という考え方を持っていて、
このブログでもまだ引き返せるといったことを何回か書いたが、
さすがにここまで引っ張ってしまうと、撤回したときのダメージが大き過ぎる。
それでも、まだわからないという意見もあるが。

景気の先行指数とみられる株価がずっと下がり続けていることからも、
しばらくの間は、経済活動は弱含みで推移するだろう。
予定どおり10月に消費税が引き上げられれば、タイミングとするとかなり悪いものになる。
増税による影響を緩和する政策が盛りだくさんに用意されているが、それでもある程度の落ち込みは覚悟するしかないだろう。
令和元年から、いきなり試練である。

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