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MMTを一笑に付すべきではない [経済を眺める楽しみ]

このところ、
「現代貨幣理論(MMT)」
が話題になっている。
これがどんなものなのかWikiから一部抜粋すると、
「政府は税収に制約される必要はなく、任意の自国通貨建て国債発行により財政支出量を調整することで、望ましいインフレレベルを目指す経済政策を行うことを理論的主柱としている」
となる。
なぜこれが話題になるかというと、MMTでは
「財政赤字はそれほど問題ではない」
とされているからである。
この主張は、従来の経済学に反するばかりではなく、
消費税の引き上げの是非とも絡み、取りざたされているのである。

また、MMTの提唱者として知られるニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が
「日本政府と日銀がMMTを実証してきた」
と主張されていることも、日本での議論に拍車をかけている。

MMTについては、政府・日銀とも否定的な立場を取っている。
麻生財務相は、
「極端な議論に陥ると財政規律を緩め、危険なことになる」
とし、
黒田日銀総裁も、
「日本の財政状況はMMTが想定するものと全く異なる」
とされている。
MMTが財政拡張を容認しているものだけに、財政再建派の方には評判が悪い。
また、そんなうまい話はないだろう、という警戒心もあるのだと思う。

しかし、日本経済のここまでの経緯を踏まえると、MMTを一笑に付すことはできない。

財政規律を守ることを重視される方は、かねてから赤字が積み上がることの危険を訴えて来られた。
以前は、
「万が一、債務残高がGDPを超えるようなことがあれば、大変なことになる」
などとおっしゃられていた。
だが、債務残高が500兆円を上回り、GDPを超えても何も起こらなかった。
すると今度は、
「1,000兆円を超えるようなことがあれば破綻する」
「このまま債務が増えれば、金利が大幅に上昇する」
「遅かれ早かれインフレになる」
と予言をコロコロ変えられ、ことごとく外され続けてきた。
日本経済の現実は、MMTが描く世界そのものなのである。

うまい話を信じない方がいいと思う気持ちはわかる。
しかし、うまい話だから必ず間違っていると思い込むのも科学的ではないと思う。

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