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オリンピック・パラリンピック 開催国の責任 [ヨモヤ]

2021年に開催予定の東京2020オリンピック・パラリンピックについて、
否定的な意見をお持ちの方が増えている。

NHKの世論調査によれば、
「開催すべき」が16%、
「中止すべき」が38%、
「さらに延期すべき」が39%だったという。
つもり、予定どおりに開催すべきと考えておられる方は2割にも満たないということになる。

開催に後ろ向きになる方が多いのも十分理解できる。
昨年末から感染が拡大していること、
海外から多くの人を呼び込むのはリスクが高いこと、
といったことに加え、
夏までに国際大会を開催できるような状況になるのかどうか、
心配になるのも当然である。
さらに、
日本よりも感染状況が厳しい国がほとんどであるなかで、本当に選手たちが来られるのか、
選手たちのコンディションはどうなのか、
世界一を決めるにふさわしい環境を用意できるのか、
といった問題もある。
まさに課題や山積と言える。

しかし、日本は、オリンピック・パラリンピックの開催国である。
やりたい・やります・やらせてください、
と手を上げ、
では、よろしくお願いします、
と世界から信任された国である。
オリンピック・パラリンピックができなくなる可能性は小さくないが、
できる・やれる前提で準備を進めるのが開催国の責任だろう。
メンツを守るためにとか、
ビジネスのためにとかの理由で、
無理を押して開催にこだわるというのではない。
最終的に、再び延期、最悪中止となる可能性も否定できない。
しかし、開催国が最初にあきらめてしまってはいけないと思う。

厳しい状況にあっても、開催を信じてコツコツ準備されている方が大勢おられると思う。
選手たちも気持ちを切らずに頑張っておられるはずだ。
心を一つにして向かいたいものである。

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映画評 「おとなの事情 スマホをのぞいたら」 [映画評]

本作は、世界18か国でリメイクされたイタリアのコメディ映画の日本版リメイク。
毎年恒例になっているパーティに集まったおとな7人が、それぞれのスマホを見せ合うことになったことから起きるドタバタを描く。
主な登場人物はこの7人だけで、
場面も、ほぼパーティ会場となった小さな食堂だけという、いわゆる密室劇。
おとな7人は、
もてない独身男に東山紀之さん、
益岡徹さんと鈴木保奈美さんが夫婦、
田口浩正さんと常盤貴子さんが夫婦、
淵上泰史さんと木南晴夏さんが夫婦。
皆が皆、人には言えない秘密を抱えていて、それがスマホのメールやラインをもとに露わになってしまう。

正直、もう設定でほとんど言い切られている感じがしたので、それほど期待せずに観に行ったのだが、
予想値からすればまずまず楽しめた。
隠している秘密が思ったよりはシリアスで、
俳優さんたちの演技にも力がこもっていた。

もちろん、ツッコミどころはいくつもあるし、展開にもかなり無理がある。
落ち着くところに落ち着くのも、そうあるべきだと思うが、驚きはない。
それでも、ベタな展開が楽しかった。
これを映画でやるべきなのか、
これを映画館で観るべきなのか、
否定的な意見もあると思う。
ただ、安心して委ねられる映画もあっていい。

脚本は、「いま、会いにゆきます」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」などの岡田惠和さん。
さすがの手練れである。
監督の光野道夫さんは映画よりテレビドラマの演出で有名。
主な作品に「抱きしめたい!」「101回目のプロポーズ」など。

「おとなの事情 スマホをのぞいたら」はリラックスして観られる映画。
タイトルどおり、大人向けと言えるだろう。
内容が深いから、というより、若者には関心が持ちにくい内容であろう。
夫婦で観に行って、自分たちの仲の良さを再認識するのもいいかもしれない。

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書評 「ブラック霞が関」 [読書記録]

もちろん、みんながみんなというわけではないが、
元官僚という立場の人が何かを言う場合、現政権の悪口を言うことがなにやら多い。
そうした発言をした方が一部マスコミからウケるからなのだろうか、
それとも私恨からなのだろうか。
脱北者の方々は、北側の悪口を誇張して言うので少し割引いて聞いておかないといけないと言われるが、それに似たものを感じることもしばしばである。

「ブラック霞が関」も、元官僚の方による本だが、政権の悪口を言って留飲を下げる類の本ではなく、ずっと建設的なものだった。
改めるべきは改めるべきと指摘し、少しでもいい方向に物事を進ませようという思いが感じられて気持ちよかった。

タイトルが刺激的であり、中身にも官僚の長時間労働の様子が描かれている。
国会での質問待機や、合同ヒアリングなどの弊害は、読んでいて気の毒になってくる。
国会議員の皆さんは、もちろん良かれと思ってやっておられるのだろうが、結果として招いている官僚の疲弊や徒労感にもぜひ思いをはせていただきたい。
与党野党に限らず。
国会対策が貴重な労働時間を削っていることは、この本のみならず、いろいろなところで指摘されていることでもある。
そろそろお気づきいただき、なんらかのアクションにつなげられることを祈りたい。

この本では、政治家の方への提言だけではなく、官僚の側の問題点もしっかり書かれている。
一部の猛烈職員が引っ張る形になってしまっていること、
紙の文化が残り過ぎていること、
デジタル化が全く進んでいないこと、
思考が型にはまり過ぎていること、
人事が硬直化していること、
などなど。
意味のある指摘と提案になっていると思うので、こちらも少しずつでも改善に向かうことを願いたい。

官僚のあり方や働き方にも大いに問題があると思うが、
官僚がやりがいをなくし、心をなくしてしまうようでは、国の未来は本当に危うい。
この本は日経の社説にも取り上げられたように、かなり関心を広げているようだ。
著者の願いが届きますように。

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「銀魂」のこと [ヨモヤ]

2004年から2006年にかけてテレビ東京系列で放映されていた「焼きたて!!ジャぱん」というアニメが大のお気に入りだった。
原作ファンだったわけでもなく、何の気なしに見始めたのだが、いつの間にか毎週楽しみに見るようになった。
だから、終了すると知ったときはショックだった。
後番組は「銀魂」というジャンプ漫画らしいが、当時はよく知らなかったし、とにかく「焼きたて」をもっと見たかった。
しかし、その曜日のその時間にアニメを見るという習慣ができていたので、「銀魂」の第1回放送にもチャンネルを合わせた。
そして、ずっぽりはまった。

アニメ「銀魂」は、
笑えて笑えて、ときに心震えて、
ロックでパンクでブルースで、
クールで暑苦しかった。
アニメでの表現はここまで、
子供向けの番組はここまで、
夕方の番組はここまで、
といった常識に、毎週挑戦しているようにも感じられた。
そして、何より面白かった。
繰り返される「終わる終わる詐欺」も、プロレスを見ているような感覚で楽しんだ。
作り手と視聴者がコールアンドレスポンスのような感じで、番組を高めて行っているような錯覚にとらわれた。

2006年4月から2010年3月までの第1期、
2011年4月から2012年3月までの第2期、
2012年10月から2013年3月までの第2期延長戦
の頃は、毎週心が躍った。
私はすでにいいおっさんになっていたが、若い頃に出会っていたら、もっとのめり込んでいただろう。

テレビアニメ第1期後の2010年に公開された映画、
「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」にも燃えた。
銀魂のよさが詰まったような作品で、音楽も含めてしびれた。

第2期延長戦後の2013年に公開された映画、
「劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」のときには、これで銀魂アニメも終わりかと思うと、切なさが募った。
目に焼き付けておこうと思った。

終わったはずの銀魂アニメは、2015年に第3期として、しれっと再開した。
なんどだまされても面白いのなら構わないが、何か以前とは違うものになってしまった気がした。
そしてそのうちなんとなく観なくなってしまった。
2017年から始まった第4期にもまったく乗れなかった。
ストーリーも作画も、すっかり変わり果ててしまったように思えた。

2017年には実写版が公開された。
「銀魂」はアニメでこそ面白いのであり、実写には不安しかなかったが、これが思いのほか楽しめた。
監督、スタッフの皆さんには、恐れ入った。

調子に乗られたか、
2018年に実写版の第2弾が公開されたが、こちらは全く楽しめなかった。
緊張感のない「銀魂」は、次元の低い悪ふざけになってしまう。

2013年の「劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」から8年。
「銀魂 THE FINAL」が公開された。
最後の銀魂を何回やっているのか、といったツッコミはしないが、もう高揚感はない。
引っ張り過ぎたなあ、
やめどきを間違ったのかなあ、
とは思うけれど。

「銀魂」という作品は、これからも末永く愛され続けるだろう。
きっと、いろいろな解釈も広がっていったりするだろう。
何年か後に、
「帰ってきた銀魂」「銀魂リターンズ」「銀魂再び」「銀魂前日譚」
などのタイトルで映画が公開されても、それはそれでありだと思う。
ただ、銀魂である以上、熱い気持ちで、重い重いものを背負って作ってほしいと願う。
銀魂である以上は。

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大谷に提示された年俸はメジャー平均のほぼ半額 [ヨモヤ]

メジャーリーグ3年目のシーズンを終えたエンゼルスの大谷翔平が年棒調停権を取得した。
選手と球団側がそれぞれ希望額を出し合い、合意しない場合、年俸調停委員会の裁定に委ねられる。
大谷と球団は折り合わなかったらしい。

大谷と言えば、その才能は日本野球史上最高とも評される逸材であると思う。
3年前のメジャーデビュー時には、二刀流でセンセーションを巻き起こした。
あれから2年経ち、エンゼルスが提示した金額はというと・・・。

ちなみに、メジャーの最高年俸は、大谷と並んで打線の中核を担うエンゼルスのトラウトで約40億円と言われる。
大谷・トラウトのコンビは、トラウタニなどと呼ばれていた。
さらに主な日本人選手の年棒はというと、
去年のシーズンが始まる前の段階で、
ヤンキースの田中将大が約25億円、
カブスのダルビッシュが約24億円とされていた。
また、昨年が短縮シーズンとならなかった場合、本来メジャーリーガーが受け取るはずだった平均年俸の額は452万ドル(約4億7960万円)だったそうだ。

そうした相場のなか、エンゼルスが大谷に提示したのは250万ドル(約2億6500万円)。
マー君、ダルビッシュどころか、メジャーの平均年棒にも遠く及ばない。
一方大谷サイドの要求は330万ドル(約3億5000万円)だったという。

確かに、2020年シーズンの大谷の成績はひどすぎた。
投げては2度しか登板できず防御率は37.80(ちょっと見たことのない数字)、
打っては打率.190と2割にもいかなかった。
この成績だけを見ると、メジャーにいられることさえ不思議である。
とはいえ、大谷の才能の才能は特筆すべきものであるはず。
そのなかでの今回の年棒提示は、
メジャーの厳しさを再認識した、というより、
大谷に対する評価の低さに驚いた。
ひょっとしたら、2021年シーズンも投げられないと見られているのかもしれない。

これまで大谷は、結果を残すことで外野からの雑音を封じ込めてきた。
しかし、去年のようなシーズンがもう一年続いてしまうようなことがあれば、さすがに二刀流に対する期待は後退してしまう。
二刀流を続けるためには、
どちらもそこそこでは意味がなく、
どちらも突出していなければならないのだから。
まだまだ若い大谷だが、今シーズンは背水の陣に近い勝負の日々になる。

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相場の世界では「いつ株価が下がってもおかしくない」は予想とは言えない [経済を眺める楽しみ]

日経平均株価が28,000円を突破し、30年ぶりの高値を付けている。
コロナ禍で経済活動が停滞している中での株価高騰であり、
バブル的と警鐘を鳴らす人が少なくない。
そして
今の株価は、いつ暴落してもおかしくない、
と主張される方もおられる。

正直なところ、その主張に目新しさはない。
景気実感と比べると明らかに株価は高いし、
上昇スピードも速過ぎるからである。

しかし、相場の世界において、
「いつ株価が下がってもおかしくない」
は予想とは言えない。
当たり前のことを言っているだけだからである。
株価は、一方的に上がりっぱなしということはない。
必ず下がるときが来る。
もちろん、下がりっぱなしということもない。
だから、「いつ下がってもおかしくない」というのは、何も言っていないのとほぼ同義である。

もし株価が下がることを、「予想」として言うのなら、
なぜ下がると考えているのか、
いつ頃下がるのか、
下値の目途はいくらか、
といったことくらいまでは、まとめて述べなければならないだろう。
そうでないと、当たったか外れたかの検証すらできない。

株価の上昇局面では、必ず逆張り的に「下がる」とおっしゃる方が出てくる。
それが説得力を持っているように感じられることもある。
しかしよく読むと、
ごく当たり前のことを言っているだけだったり、特に根拠が無かったりすることも少なくない。
強気の煽りと同様、
弱気の煽りにも気をつけないと。

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映画評 「劇場版ポケットモンスター ココ」 [映画評]

ポケモン映画の第1弾は、1998年に制作された「ミュウツーの逆襲」である。
この作品は興行収入70億円を超える大ヒットとなり、邦画の年間1位となった。
ポケモンはアメリカ市場でも受け入れられ、日本映画として空前の大ヒットとなった。
いまだに日本映画は「ミュウツーの逆襲」を超えるヒット作を生み出せていない。
(ちなみに、史上第2位もポケモン映画で「幻のポケモン ルギア爆誕」)

しかし、ポケモン映画は第1作を頂点に長期的な下降トレンドをたどり、
第19作目には興行収入が20億円をようやく超えるくらいまでに落ち込んだ。
私も、この間ポツポツ観に行っていたが、どんどんつまらなくなっていったように記憶している。

この流れに歯止めをかけたのが、2017年に公開された第20作の「キミにきめた!」であった。
ポケモンの原点に返るような内容が大人の胸にも刺さった。
今作の「ココ」も、「キミにきめた!」の流れを汲むものと言っていいと思う。
ストーリーに重きを置くのは、正しい方向性だと思う。

本作は、父子の絆に焦点を当てている。
子どもに加えて、お父さんにもアピールしようとう魂胆が見え見えである。
しかし、それは別に悪いことではない。
わかりやすく内容を提示することで、安心して劇場に足を運べる。

予想通りと言うべきか、本作の展開は、実にわかりやすい。
そうなるようなあ、と思うとおりに話が進んでいく。
それも別に悪いことではないが、あまりにも型通りに行き過ぎた感は否めない。

また、悪役がきちんと立てられていなかった。
無理に仕立てたような悪者で、これでは観ている側は乗れない。
安心して観ているうちに、気持ちが穏やかになり、睡魔が襲ってきた。
わかりやすいことはいいことなのだが、予定調和が過ぎてもつまらない。
さじ加減は難しいものだ。

ゲストでの声の出演に中村勘九郎さんと上白石萌歌さん。
中村さんはさすがの貫禄。
萌歌さんはちょっと頑張り過ぎだったかもしれない。

「劇場版ポケットモンスター ココ」は、ちと狙い過ぎた感。
お気持ちはわかるのだが。

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ビットコインに乗ったら急降下も覚悟 [経済を眺める楽しみ]

昨年来上昇を続けていたビットコインが、先週急落した。
8日に4万1,962.36ドルをつけて過去最高値を更新した後、
11日の3万8,947ドルから、12日には3万305ドルとなり、
わずか19時間で8,642ドル急降下。
1日足らずの間に22%以上下落したことになる。

22%という数字を今の日経平均株価28,500円に当てはめると、6,000円以上となる。
株価が1日に6,000円も下がったら大変である。
そう考えるとビットコインの振れ幅のすさまじさがわかる。

この値動きについて、イギリス金融行動監督機構という組織は、
「暗号資産への投資、ないし暗号通貨関連の投資や融資は一般に、きわめて高いリスクを伴う」
「消費者がこの種の金融商品に投資を行う場合には、全てを失う覚悟をしておくべきだ」
と警告したという。
「すべてを失う覚悟」とはちょっと言い過ぎな気もするが、そのくらいの気持ちを持っていないと精神的に耐えられないということなのだろう。

一方、今回の下落は一時的な調整に過ぎないと考えている人も少なくない。
そうした方は、上昇スピードが速過ぎたのを少し調整しているだけで、特に気にすることはないととらえている。

ビットコインの先行きに対する見方は分かれるところだが、
これからも値動きが荒い展開をすることでは意見は分かれないだろう。
ビットコインに資金を投入することを、
投資ではなく投機と捉えるかどうか、
単なる物珍しさではなく価値の大きな転換ととらえるかどうか、
通貨の歴史を変えると見るか一過性のものと見るかどうか、
そのあたりは見解の相違が生まれるだろうが、
しばらくはジェットコースター的な相場になることは、ほとんどの人が了解していると思う。

ビットコインをはじめとした仮想通貨には、株価と比べて、割高割安を図る基準がはっきりしない。
上がっても下がっても、なぜそうなるのかうまく説明がつかないし、
現状の値の妥当性を合理的に説明することも難しい。
いつの日か、現状の為替相場のように取引される日が来るのだろうか。

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映画評 「AWAKE」 [映画評]

本作は、2015年4月11日の将棋電王戦FINAL第5局で繰り広げられた棋士とコンピュータの対局にインスパイアされて制作された作品である。
AWAKEとは将棋ソフトの名前であり、実在する。
開発者に奨励会在籍経験があるという設定も、そのまま活かされている。

青春ものというと、スポーツものが主役である。
この頃は希少部活系も増えているが、コンピュータ関係もこれから増えていくだろうか。
本作は、将棋で破れた夢をAIでかなえようというものであり、先駆けとなる一作かもしれない。

どこかで、
「棋士とコンピュータが真剣勝負を演じた時代を描いた作品」
と紹介されていた。
そう、今はもうコンピュータが強くなり過ぎて、棋士と真剣勝負をすることはなくなった。
コンピュータが棋力を上げてきたころ、
「コンピュータに負けるようなことがあれば、プロ棋士の存在価値はなくなるのではないか」
などと言う人もいたが、まったくそんなことにはならなかった。

脚本・監督をつとめられたのは山田篤宏さん。
本作は、第1回木下グループ新人監督賞において、グランプリに選ばれていて、それがデビュー作につながった。
「プロ棋士を目指して挫折した青年が、AIの開発者としてかつてのライバルと対決する」
という筋立ては、なかなか魅力的である。
若者の挫折と復活、ライバルとの確執と友情がしっかり盛り込まれている。
ラストのほろ苦さもいい。
1980年生まれの新鋭であり、今後が大いに期待される。

主演は、今をときめく吉沢亮さん。繊細かつ熱い青年を熱演された。
ライバルを演じられた若葉竜也さんは、クールな雰囲気をうまく出されていた。
吉沢さんとAIを育てていく存在を演じられた落合モトキさんはいい味だった。
恋愛沙汰がないのがこの映画の特徴で、女優さんの登場はごくわずか。
正解だと思う。

さて、この映画を観たのは緊急事態宣言が出るより前のことである。
県境を越えて映画を観に行くのは、しばらくの間、我慢である。
その代わり、なるべく人との接触を避けながら、地元の映画館に通おうと思う。
映画館は安全だし、映画も映画館も守りたいから。

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世界中に感染が広がる中での中国のワクチン外交 [ヨモヤ]

新型コロナウイルスの世界での感染者が9,000万人を超えたらしい。
早晩、1億人も突破するだろう。
こうした状況の中、ウイルスの震源地であった中国がワクチン外交を展開している。
先日の新聞紙面でも、
「中国の王毅国務委員兼外相がアフリカ5カ国の訪問を終え、新型コロナウイルスのワクチンや金融支援で取り込みを進めた」
との記事が掲載されていた。

今回王毅外相が訪問したのは、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、ボツワナ、タンザニア、セーシェルの5カ国。
アフリカ各国の共通の課題として、
・新型コロナウイルスの流行が止まっていないこと
・コロナウイルスのワクチンの確保が進んでいないこと
・インフラの整備が急務だが、資金が不足していること
といった点が挙げられる。
そして、これらを解決できるのが中国なのである。

中国は、国内景気も好調とされているが、手を緩めることなく海外市場の開拓を進めている。
国内人口が早晩減少に向かうことが予想されており、それに備えてのことだろうか。
日本のバブル崩壊などを参考にしてか、常に先手を打ってきている印象である。
そして、そのターゲットとなっているのが、今後の成長の中心地と見られるアフリカである。

中国は積極的にアフリカ諸国のインフラ投資に関与し、恩を売っている。
しかし現地では、中国から借り入れた巨額の資金の返済が難しくなる「債務のわな」への批判も高まっているという。
今回の王毅外相の訪問では、債務の軽減も示されたらしい。
ワクチンが確保できて、借金が減らされるとなると、アフリカ各国としては大変ありがたい話だろう。
その結果、ナイジェリア外相が台湾や香港を巡る問題で
「中国を断固として支持する」
と発言したほか、他の国々も中国の「核心的利益」に支持を表明した。

もともと、中国にとってアフリカは国連の場で中国支持を取りつける「票田」になっているらしい。
香港国家安全維持法や新疆ウイグルを巡る人権問題を巡ってアフリカ各国は中国支持を表明した経緯がある。

コロナが広がる中でのこうした中国の動きに眉をひそめる方もおられるだろうが、国際社会とはこういうものと割り切るべきだろう。
中国だけではなく、どの国も国益を最優先に、それぞれが持っているカードを切ってくる。
中国はわかりやすい動きをするので目立つ面はあるが、世界中やっていることはそう変わらない。

そんななか、日本の外交は、とてつもなく甘く感じられる。
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」いるのだから、それが日本のやり方とも言える。
甘いやり方が機能していない場合が少なくないように思えるが、功を奏している面もあるようだ。
アメリカと中国という、覇権主義的色彩の強い2大国がやり合うなか、
日本流の外交はどうあるべきか、よりシビアに考えていかなければならない。
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