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コロナ禍でも企業の採用意欲は心配していたほど衰えず [経済を眺める楽しみ]

厚生労働省と文部科学省がまとめた、2月1日現在の今春卒業見込みの大学生の就職内定率は、
89.5%となり、前年同時期を2.8ポイント下回った。
これをとらえて、
10年ぶりの減少、
コロナ禍で採用の厳しさが増している、
といった報道もある。
しかし、今年度の採用が厳しくなることは以前からわかっていたことであり、
覚悟していたレベルと比べると落ち込みはそこまでではないと言っていいのではないか。
2010年前後は80%を下回ることもあったことを思えば、水準としてもそれほどひどいものではない。
さらに、前年との差は日を追うごとに縮まっており、
「企業は新型コロナによる採用活動の遅れを取り戻しつつある」
との声もある。

ちなみに内定率の内訳を見ると、
性別では、男子が88.1%、女子が91.2%、
学部別では、理系が92.1%、文系が88.9%。
危機時に理系が強いというのはかねてからの傾向である。

追って日本経済新聞に、2022年春入社の新卒採用計画調査の結果も公表された。
これによると、大卒採用は4.4%の増が見込まれているという。
リーマンショック時には数年間下がり続けたから、
その当時と比べるとこちらも明るい知らせである。
働き手の減少を見据えて、企業が人材確保に走っているようだ。

雇用はすべての基本であり、仕事がなければ生活の基盤が作れない。
雇用が崩れると、経済は危機的状況に陥る。
年功序列、終身雇用、新卒一括採用といった慣習がいまだに残っている日本ではなおさらである。
報道を見ると、少なくとも新卒採用については、再び氷河期を迎えるということはなさそうだ。

全体的にはやれやれでも、個々に見ると、
航空会社への就職を目指していた人など、人生設計自体が大きく変わってしまった方もおられるだろう。
お気の毒としか言いようがないが、入った会社で自分なりに咲くという手もある。
就職はゴールでもなんでもないのだから。

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