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映画評 「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~」 [映画評]

バイプレイヤーたちが実名で出演するドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズの劇場版、
ということだが、ドラマの方は未見。
劇場版ということもあってか、有村架純さん、天海祐希さん、役所広司さんといったバイプレイヤーとは言えない存在の役者さんたちが彩を添えている。

ストーリーはあるようなないようなゆるい感じだが、
濱田岳さんのコミカルな魅力で飽きさせない。
タイトルに「100人の名脇役が」とあるとおり、登場人物は盛りだくさん。
その方々を活かせているかというと全然そんなことはないし、
もったいないと言えば実にもったいない。
しかし本作については、それはそれでいいと思えた。

いわくつきの台本をもとに映画を作ろう、
という設定は、去年公開されて個人的に大好きだった「ビューティフルドリーマー」と同じ。
映画愛が根本に流れているのも同じ。
ただ、こちらの方がよりゆるい。
学園祭設定の映画より、プロの俳優が出ている設定の方がゆるいのは微妙と言えば微妙。
このタッチがはまらない人もいるだろう。
私にははまった。
松居大悟監督作品では、昨年公開された「#ハンド全力」も楽しかった。
どうやら私と波長が合うようだ。

ドラマ版のバイプレイヤーズの中心は、
田口トモロヲさん、松重豊さん、光石研さん、遠藤憲一さん、
といった面々らしいが、今作の主役は濱田岳さんと言っていいだろう。
情けない役を任せたら、いつも絶品である。
菜々緒さんも楽しそうに絡む。

温かい大団円は、映画愛にあふれた感じにおさまっているが、
なんだか安っぽく見えなくもない。
狙った安っぽさだけではなく、
安っぽくなってしまった面もあるように感じる。
そのほかにも、物足りない面が少なくない映画だったのだが、
なぜか楽しめた。
バイプレイヤーズの皆さんの演技もさることながら、
本作のノリのようなものが心地よかった。

松居大悟監督作品では、
4月29日に「くれなずめ」という映画が公開予定とされていて、
とても楽しみにしていた。
しかし、この度の緊急事態宣言を受けて公開が延期になったとのことである。
実に残念だが、楽しみが先に延びたと喜ぼう。
空腹が最高のスパイスになるように。
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