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日本だけが貧しくなっているように伝えられるけれど ~イギリスのニュースから見えるもの~ [経済を眺める楽しみ]

「安い日本」という言葉が定着しつつある。
日本は物価も安いが給料も安く、
世界水準から見て、どんどん貧しくなっている状況を言っている。

その物価は、このところ上昇基調を強めている。
消費者物価指数が3%ほど上昇し、
とんでもないことが起きているかのような報道も見られる。
政府・日銀の無策ぶりを糾弾する論調もある。

確かに日本はバブル崩壊後、
給与所得の上昇が見られず、
株価も十分には上がり切らない、
という状況がいやになるほど長く続いている。
その状況での物価上昇は大きな負担である。

では、世界はどうか。
統計情報を比較すると、
世界の所得は継続的に上昇しているようだし、
株価も基本的に上げ続けている
そうした情報だけ見ると、日本が一人負けしているように思える。

イギリスの消費者団体が、このところの物価高騰を受け、
国内世帯の半数が食事回数を減らさざるを得なくなっていると警鐘を鳴らした、
というニュースが報じられた。
調査によれば、80%近くが経済的に苦しいと答えたという。
同団体で食糧政策を担当している人の言葉によれば、
「生活費危機の直撃で数百万人が食事を抜くか、健康的な食事を取れない事態となっている恐れがある」
とのことである。

時事通信により報じられているニュースであるが、
どこまで言葉どおりに受け取るべきなのか、正直よくわからない。
イギリスという先進国にあって、半数の世帯が3回の食事を2回に減らさなければならなくなる、
というのはにわかに信じがたい。
ただし、物価上昇が10%にも及んでいるなか、
多くの世帯において苦しい状況に陥っていることは事実のようだ。

ロンドンでランチをとろうとすると2,000円くらいかかることが多いそうだ。
こうした比較も日本は安いという根拠のひとつになっている。
しかし、それでイギリスに住む多くの世帯が苦しんでいるのなら、物価が高いのはなんの意味もない。
同じような状況は他国でも起きていると考えるのが自然だろう。

日本の賃金が上がっていないのは由々しき事態であり、
これはなんとか変えていきたいところである。
それでも、他の国がバラ色であるかというとそんなことはない。
マスコミの皆さんにはバランスのとれた報道をお願いしたいものである。

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