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映画評 「愛してる!」 [映画評]

日活ロマンポルノの50周年記念プロジェクト「ROMAN PORNO NOW」の第2弾となる作品。
ロマンポルノに造詣が深いわけでもなんでもないのだが、日経夕刊の映画評に掲載されたこともあり、
勇を奮って劇場へ。
舞台挨拶付きということもあってか、意外と女性の姿もちらほら。

監督は、ホラー映画などを撮ってこられた白石晃士さん。
ちなみにこのプロジェクトの第1弾は松居大悟さん、第3弾は金子修介さん。

さて、この映画、どう評すればいいのだろう。
きちんと映画として観ればいいのだろうか、
それとも、ひとつの企画ものとして受け止めればいいのだろうか。
迷うが、「んな、マジになんなよ」と言われるのを承知で普通に映画評してみよう。

ストーリーは、
元女子プロレスラーの地下アイドルが、SMラウンジのオーナーに女王様としてスカウトされる。
女王様になるのならまずは奴隷の気持ちを知らなければと人気女王様に手ほどきを受けているうち、
ズブズブと快感を覚えるようになる。
そのうち地下アイドルとしても人気が出始めるのだが、
女王様が飛び込んできて・・・
という感じ。

94分の映画であり、てきぱき展開していく。
SMがテーマで、その真髄的なものはほのかに伝わる。

映画のコピーに「一緒に遠くまで行くよ!」とある。
SMで覚える快感には止めどがなく、まだ先、まだ先と求め、
二人で遠くまで行く、ということであろうか。
一般の映画であれば、遠くまで行きたくてもいろいろ制約があるだろう。
女優さんはここまでしかできませんとか、
こんな演出では劇場にかけられませんとか。
本作ではそうした制約は比較的少なかったはずである。
であれば、映画のコピーどおり、もっと遠くまで行けたのではないだろうか。
それはもっと露出しろとか、もっとこってり絡め、とかいう意味ではない。
主人公と女王様の相互隷属関係が、今一つ描き切れていないように思えた。
そもそも主人公は最初から気持ちよくなり過ぎ。
徐々にのめり込んでいく方が遠くに行ける感が出たのではないだろうか。
最後のオチも、穏やかだが遠くには行っていない。

また、元女子プロレスラーという設定なら、プロレスのシーンも是非欲しかった。
もちろん、大変だけれど。

主要キャラクターを演じられた川瀬知佐子さん、鳥之海凪紗さん、乙葉あいさんの3人の女優さんは熱演。
3人ともロマンポルノっぽくない感じなのだが、そこがリアリティを醸し出していた。

高嶋政宏さんが企画監修と出演を兼ねておられる。
舞台挨拶でも盛り上げてくださったが、映画とすると出演されたのがよかったかどうか微妙。

タイトルの「愛してる!」の意味は劇場で確かめていただきたいが、
もう少し効果的に使えたのではないかという気もする。
惜しい。

愛してる!.jpg
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