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野田元総理の追悼演説に心動かされる [ヨモヤ]

野田佳彦元総理が衆議院本会議で追悼演説をされ、安倍晋三元総理の死を悼まれた。
素晴らしい時間だった。

国会の議論にはとっくに食傷しているし、
気分が悪くなるだけなのでニュースやワイドショーもできる限り見ないようにしている。
そんななかの野田元総理の演説には、もやが晴れるようなさわやかな気持ちにさせていただいた。

野田元総理は、
安倍元総理との秘話をいくつか明かされた。
それは、安倍元総理の明るさ、やさしさを示すものだった。
タイプの違うアメリカ大統領と固い絆を結べたのは「人と人との距離感を縮める天性の才」と称賛された。

しかし、持ち上げるだけではなかった。
「長く国家の舵取りに力を尽くしたあなたは、歴史の法廷に、永遠に立ち続けなければならない運命」
「国の宰相としての事績をたどり、あなたが放った強烈な光も、その先に伸びた影も、言葉の限りを尽くして、問い続けたい」
とされ、負の側面があったことにも触れられた。

さらに、お二人で天皇の生前退位について意見を交わし、方向性を議論したことを踏まえ、
「国論が大きく分かれる重要課題は、政府だけで決めきるのではなく、国会で各党が関与した形で協議を進める」
と述べられ、今回の政府の対応を暗に批判されもした。

野田元総理は、暴力に屈しないためには言論で戦うしかないという決意を述べられ、
「あなたの無念に思いを致せばこそ、私たちは、言論の力を頼りに、不完全かもしれない民主主義を、少しでも、よりよきものへと鍛え続けていくしかないのです」
と話された。

さらに議場の議員にも、次のように訴えられた。
「政治家の握るマイクには、人々の暮らしや命がかかっています。
暴力に怯まず、臆さず、街頭に立つ勇気を持ち続けようではありませんか。
民主主義の基である、自由な言論を守り抜いていこうではありませんか。
真摯な言葉で、建設的な議論を尽くし、民主主義をより健全で強靱なものへと育てあげていこうではありませんか。
こうした誓いこそが、マイクを握りながら、不意の凶弾に斃れた故人へ、私たち国会議員が捧げられる、何よりの追悼の誠である」

元首相が演説中に撃たれて亡くなる、
という衝撃的な事件が起きたにもかかわらず、
マスコミの報道は、国葬の是非や統一教会の問題に終始した。
そうしたことを語るべきではないとは思わないが、
真に語られるべきことが語られているかどうかは常に問われるべきだと思う。

マスコミの報道が「はて?」なのは今に始まったことでもなし、
こんなことをくよくよ思っていても詮無いことだなあ、
と感じているなかでの野田元総理の演説。
胸熱く、それでいてさわやかな気持ちになった。

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