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映画評 「耳をすませば」 [映画評]

この映画が好きだ。

ベタベタの甘々展開で、
演技もなんだか微妙で、
主人公もいじいじグダグダしているのだが、
なぜだか愛おしい。
なぜだか胸に響いた。

本作は、ジブリアニメで知られる同名タイトル映画の10年後を描いている。
アニメの方はテレビで観たことがある気がするが、あまりよく覚えていない。
しかし、作中で過去の様子もかなり丁寧に描かれるのでアニメを観ていなくても心配ない。

主人公の月島雫役を清野菜名さんが演じる。
この映画が好きだという以上、清野さんの演技に大きな不満があるわけではないが、
設定的に、もうちょっと若々しい方でもよかった気がする。
恋人役の天沢聖司役を松坂桃李さんが演じる。
こちらはすんなりはまっていた。

中学時代の二人を若い役者さんが演じている。
妙にオーバーで、「学芸会のよう」と言われがちな演技だが、
この映画ではそれがはまっていたと感じる。
演出でそうしたのだとすると、監督の術中にはまってしまった。

その監督を務められたのは平川雄一朗さん。
脚本も平川さんである。
前作「約束のネバーランド」では、やってしまった感が強かったけれど、今作で挽回された。

夢を追いかける、夢をあきらめない、夢があるから、などなど、
夢夢夢夢うるさいよ、
と思われる方もおられるかもしれない。
しかし、この作品で二人をつないだものはそこにあったので勘弁願いたい。
実生活においては、夢をあきらめなければえらいというものではないと思うが、そこはそれ映画の世界。

実写版「耳をすませば」は、傑作でも佳作でもない。
感動作でもないだろう。
性に合わない、という方も少なからずおられるだろう。
なのに、私はスッポリはまってしまった。
みずみずしい青春にゆったりつからせていただいた。

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