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映画評 「PERFECT DAYS」 [映画評]

ドイツの名匠ビム・ベンダースが、
役所広司さん主演でトイレの清掃員の男が送る日々を描いたドラマ。
2023年カンヌ国際映画祭で、役所さんが男優賞を受賞したことで大きな話題になった。

役所さん演じる主人公は、
道を掃く箒の音で眼ざめ、
布団をてきぱきたたみ、
歯を磨き、
缶コーヒーを買い、
お気に入りの昔の洋楽を聞きながら現場に向かい、
丁寧に仕事をする。
古本屋で本を買い、
いつもの安居酒屋とスナックに行く。

つまりは、静謐に暮らしている。

毎朝、空を見上げるときの晴れやかな顔が印象的。
普段と変わらない日常を大切にしていることがわかる。
しかし、そんな主人公にも、
なにがしかの過去があり、
人としての心の揺らぎがある。

映画は淡々と進む。
ベンダース監督が敬愛されているという小津安二郎の世界のようである。
映像は美しく、役所さんの演技にも引き付けられる。
個人的に、こうした何も起こらない展開が嫌いではない。
その一方、ふと眠気を感じ、記憶が遠くなる瞬間が一再ならずあったことを告白せざるを得ない。

役所さんの演技を味わう映画として観るのが正しいのだろうか。
あと、いろいろなトイレを見ることもできる。
嫌いな映画ではないが、
大好きにもならなったことを告白せざるを得ない。

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