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映画評 「ある閉ざされた雪の山荘で」 [映画評]

もちろん、これだけ裏切られ続けているのだから、
今さら日本映画に過度な期待を持つことはない。
それでも、最低限の仕事はしてもらいたい。
そう望むのは罪でしょうか?

この映画、冒頭のシーンから、
映画に対するほのかに残された期待をガラガラと崩していく。

アイマスクをして若者たちがバスに揺られている。
どうやら外を見てはいけない設定のようだが、
え、こんなの簡単に取れますけど。
全員アイマスクをして大荷物を抱えているのだが、
次のシーンでは全員バスを降りている。
え、どうやって。
バスを下りたらアイマスクを取ってもいいらしいのだが、
え、どうして。

もうここまでの段階で、作り手の怠慢ぶりがひしひしと伝わる。
ちょっとおかしくないですか、
とか、誰も何も言わないのだろうか。
何かを考えて撮影に臨んでいる人は一人もいないのだろうか。
それでも映画館に来ている以上、それから2時間はこの作品に向き合わなければならない。

原作は、東野圭吾が1992年に発表した同名ベストセラー小説。
公開されているあらすじはこんな感じ。

劇団に所属する7人の役者のもとに、新作舞台の主演の座を争う最終オーディションへの招待状が届く。
オーディションは4日間の合宿で行われ、参加者たちは「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件のシナリオを演じることに。
しかし出口のない密室で1人また1人と参加者が消えていき、彼らは互いに疑心暗鬼に陥っていく。

おそらく、原作はアイデアに満ちた作品なのだろう。
映画では、馬鹿馬鹿しさに満ちてしまったが。

出演は、中条あやみさん、岡山天音さん、西野七瀬さん、堀田真由さん、
戸塚純貴さん、森川葵さん、間宮祥太朗さんなど。
岡山さんは、若手個性派俳優の地位を着々と固めておられる。

これだけ魅力的な題材で、
若手俳優を集めて、
こぎゃな映画にしてしまう。
もう慣れているけれど、切なく悲しいことである。

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