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映画評 「コンフィデンスマンJP 英雄編」 ~ まいりました ~ [映画評]

ここのところで観たドラマの映画化版は、
どれもこれもスッカスカだった。
ドラマを観ていた人だけにわかればいい、
初見の人の心に刺さらなくても固定ファンに届けばいい、
世の中を驚かせてやろうという気概などさらさらない、
といった志の低さが悲しかった。
「コンフィデンスマン」シリーズは、そうしたドラマ化作品とは一線を画しているとはいえ、
さすがに映画3作目ともなるとネタも尽きるだろう、
惰性にもなるだろう。
そんなことを思いながら観に行った。

ごめんなさい。
コンフィデンスマン、舐めていました。

どうせ最後はどんでん返しなんでしょ、
ハッピーエンドなんでしょ、
とわかって観ているのに、それでも面白い。
たっぷり面白い。
驚くべき脚本の力。
そして、脚本の素晴らしさを存分に引き出す
称えるべき演出の冴え。

主演のダー子を演じる長澤まさみさんは、相変わらずの弾けっぷり。
エンドクレジット後のおまけシーンで見せたキュートさに射抜かれた。
ボクちゃんを演じる東出昌大さんも、だらしなさをしっかり演じられていた。
いろいろ風当たりの強い俳優さんだが、彼なしではこの作品の味は出ないだろう。
リチャードを演じる小日向文世さんはさすが。
シリアスでもコミカルでもなんでも行ける。

残念ながら亡くなられてしまった竹内結子さん、三浦春馬さんも、
姿は見えないながら大切な役割が振られている。

隙のない傑作かと言えば、全然そんなことはない。
ツッコミどころは満載。
ご都合主義が山盛り。
しかし、リアリティとか辻褄とか、
そんなものを考えることが馬鹿馬鹿しくなるような力が本作にはある。

さらなる続編はあるだろうか。
もっともっと観たい気がするが、これほどの脚本がホイホイ仕上がってくるとも思えない。
3までとんでもない傑作が続いた「トイ・ストーリー」も、4になると散々な出来栄えだった。
だから、無理に作らないでいただきたい。
作ればヒットが約束されているが、そこはこらえて、
機が熟すまでしっかり練っていただきたい。
こちらは気長に待っていよう。
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