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映画評 「真夜中乙女戦争」 [映画評]

「とんかつDJアゲ太郎」という映画が好きだ。
残念ながら原作ファンの受けが悪かったことに加え、
伊藤健太郎さん、ブラザートムさん、伊勢谷友介さんと出演者にあれこれが続出したこともあり、
失敗作のレッテルを貼られているように思う。
しかし、最初から最後まで飽きさせるところなく、
クライマックスは十分に盛り上げる、
見事な娯楽作だったと思う。

本作「真夜中乙女戦争」は、「アゲ太郎」を撮った二宮健監督によるもの。
タイプがまるで違う映画に、期待が高まる。

だが、残念。
今回はうまくいかなかった。

ご覧になった方の多くは、デヴィッド・フィンチャー監督の「ファイト・クラブ」に似た空気を感じるだろう。
インタビュー記事を読むと、二宮監督も同作を意識して作ったらしい。
雰囲気にもラストシーンにも共通したものがなくはないのだが、作品として遠く及ばない。
劣化コピーという域にも達していないと言わざるを得ない。

永瀬廉くんが演じる主人公に魅力がない。
永瀬くんがどうこうではなく、役として惹かれるものがない。
池田エライザさん演じる先輩と恋愛関係のようなものになられるのだが、そこからも伝わるものがない。
エライザさんの演じられる役にも力はなく。
柄本佑さんが破壊者の役を演じられるのだが、その動機も全く刺さらない。
主役の3人に魅力がないのだから、いい映画になるはずもない。

映像はスタイリッシュと言えばスタイリッシュだが、
別になんということはなく。

「真夜中乙女戦争」は、監督や出演者の志が空回ってしまった感じの作品。
思いはあったのだと思うが、まあ、うまく行かないこともある。

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