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コロナ禍でも上場企業は過去最高益 [経済を眺める楽しみ]

東京証券取引所に上場する企業の2022年3月期決算がほぼ出揃った。
旧東証1部企業の最終利益の合計は、約33兆円。
これは、4年ぶりに過去最高を更新するものである。
つまり、コロナ禍で経済活動の停滞が言われていたが、
実際には多くの企業が利益を上げていたということになる。
もちろん、円安による嵩増しもある。

特に好調だったのは商社。
鉄鉱石や石炭をはじめとする資源の需要が高まり、価格も上がったが、
そうなると各種の権益を持つ商社は強い。
株価が強烈に上がった海運業界も軒並み最高益。

製造業では、自動車や製鉄が好調だったようだが、
こちらは円安になると自然に利益が上がる構造となっているとも言える。
そう考えると、2023年3月期も期待できるかもしれない。

ただし、上場企業が好調だからといって、
国内企業全体の決算がいいとは限らない。
国内のほとんどが中小企業だが、
そうした会社にとって資源高は逆風だろうし、円安もメリットとは言いにくいはずだ。

だとしても、
2022年3月期の上場企業決算がよかったのは朗報である。
上場企業の決算がよくてもしょうがない、
という意見が聞かれることが少なくないが、
経済をけん引役となるべき上場企業が不調ではどうにもならない。
もちろん、この業績を中小の下請けに還元していく役割は忘れないでいただきたい。

決算は過ぎた話。
肝心なのは、今期。
ロシアのウクライナ侵攻の長期化で世界が混とんとしているが、
それだけではなく、
アメリカの金融引き締め、
中国の景気低迷とコロナによるロックダウンなど、
経済環境にとっては逆風が続いている。
円安メリットを受けている企業も含め、
多くが先行きに不安を抱えているだろう。
しかし、政府日銀とも手詰まり感が強く、
強力な経済政策が打たれるとも思いにくい。

と考えると、しばらくは逆風かもしれない。
しかし、そこをなんとかするのが強い会社であろう。
上場企業には日本経済のけん引役として、
引き続きの業績拡大を期待したい。

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