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ジュリアナ東京を日本経済の象徴とするNHKの見識が悲しい [ヨモヤ]

NHKスペシャル
「ジャパン・リバイバル “安い30年”脱却への道」
を観た。
新しい視点が提示されるかと期待したが、
残念ながら
「いや、もう、さんざん言われていることですね」
という内容に終始していた。

賃金を上げなかったことを現在のような状況を招いた原因としているように感じられたが、
上げられなかった理由があったのであり、
そのあたりの掘り下げもなされなかった。

また、現状を突破するための主たる結論が、
「外資を取り入れよう」
となっていたのも、
方法論のひとつとしてわからなくはないが、ううん、なんとも。

さらに、「ジュリアナ東京」を日本経済の総本山のように崇めていたのは、
一体どういうことなのやら。
女子アナウンサーに、
「こんな時代に生きていたかった」
と言わせたり、
「日本が世界を席巻した時代の象徴」
と言ってみたり。
人が集まってワーワー騒ぐことが経済の隆盛の象徴ととらえるのなら、
近年の渋谷のハロウィンも負けてはいない。

多くの人が知っていることだと思うが、
ジュリアナ東京ができたのは1991年。
一方、バブルのピークは1989年から1990年の頭ごろであり、
1991年はバブルの崩壊期に当たる。
わかりやすい指標として日経平均株価を見ると、
1989年のピーク時に約39,000円だったものが1991年には約23,000円となっている。
つまり、時期的にもジュリアナはバブルを象徴していない。

ちなみに、ジュリアナ東京のWikipediaを見ると、こんなことが書いてある。
『なお、テレビ番組でボディコン女性が「ジュリ扇」を振り回して踊る光景やジュリアナ東京の映像が、今日も「バブルを象徴する光景」として紹介されることが多い。しかし、ジュリアナ東京が営業していた1991年5月から1994年8月は、実際には徐々に進行するバブル崩壊期、景気後退期にあたることに注意が必要である。』

NHKの方は、ジュリアナが流行った時期にはすでにバブルが終わっていたことを知っていただろう。
いや、番組には何人も携わるのだから、知らないなんてことは、さすがに。
それでも今回のような番組にしたということは、
「視聴者にはどうせわかりゃしない」
と思ったのか、
「だって、ほかの番組だってバブルの象徴みたいに取り上げてるじゃん。だからいいじゃん」
と思ったのか。
さて、どちらなのだろう。
どちらにしても、悲しいことである。

バラエティ番組が、ある程度大雑把に物事を伝えるのは、
美しくはないが、やむを得ない面もあると思う。
しかし、NHKの看板とも言える硬派な番組がこんな感じでは、
いやはや、なんとも。

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