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映画評 「ふまじめ通信」 [映画評]

今年観た映画の暫定1位は「あつい胸さわぎ」である。
あまり知られていないかもしれないが、
胸があつくなるいい映画だった。
その映画を撮った、まつむらしんご監督が、
同じく和歌山県を舞台にした作品を公開するとあれば、これはもう観に行くしかない。

「あつい胸さわぎ」は雑賀崎漁港が舞台だったが、
こちらは加太という港町。
みかん畑と海と漁師町というコントラストが美しい。

本作は、通常の映画とは少し違い、
四コマ漫画的なエピソードが次々と映される。

主人公は都会で教師をしていたが真面目すぎる性格から心を病んで辞職。
田舎でのんびり暮らしつつ、自身の性格とは反対の「ふまじめ通信」という音声配信番組を始める。
そしてそこで起きる小さな出来事が重ねられていく。

「あつい胸さわぎ」のような熱い展開がないことはもちろん承知していたが、
それにしても。
主人公に今一つ感情移入できず、
個々のエピソードの深度もそれなりで、
結末も思い切り想定内。

メジャー系の作品と同列に評価する作品ではないのかもしれないが、
劇場公開されている以上、
観る側が、「まあ仕方ない」とあきらめるのもなんである。
期待して観に行ったこちらが悪いのか、
しかし期待しないで映画を観るのもおかしいし。

小さく丁寧に作られた映画を大切にしたいとは思うけれど、
劇場公開する以上、
胸ときめく映画体験をさせていただきたい。
それは展開が派手であるとかそういうことではなく、
何も起こらなくても胸がざわめく作品もある。
本作のような作品があることは悪いことではないが、
商業作品としてどうなのかと考えさせられもした。

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