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映画評 「春画先生」 [映画評]

「黄泉がえり」「どろろ」といったメジャー系の大ヒット作で知られる塩田明彦監督。
個人的には2019年公開の「さよならくちびる」が一押し。
劇中で歌われた「誰にだって訳がある」という曲が胸に沁みた。
しかし、2022年公開の「麻希のいる世界」という作品が、超絶トンデモ映画。
なんとも振り幅の大きい監督さんである。
さて、今回はどちらの塩田監督だろう。

本作の主人公は、江戸時代に広まった性的な交わりを描いた「春画」の研究者。
春画先生と呼ばれ、その世界では一目置かれている。
春画先生に見初められ弟子になった女性との関係が物語の中心。
そこに、編集者や先生の亡き妻の双子の姉が絡む。

春画がテーマであり、
そこから予想されるとおりエロい映画。
なんでも、商業映画としては日本映画史上初めて無修正の浮世絵春画がスクリーン上映される作品となったそうな。
ただ、もっと春画を掘り下げるかと思いきや、
そちらはそれなりで、
エロと変態を掘り下げた。

後半、ハチャメチャな展開になってしまうのは、
塩田監督らしいと言えば言えるのだろうか。
ちょっとハチャメチャ過ぎてもったいない感があった。

先生役に内野聖陽さん。
おかしな役をあやしく可笑しく演じられた。
先生に調教される感じの若い女性役に北香那さん。
北香那さん、どこかで聞いた名前と思っていたら、
そうだ、「ペンギン・ハイウェイ」の主人公、アオヤマ君の声の人だ。
アオヤマ君がこんなエロい役を・・・。
エロいだけでなく、北香那さんはいろいろな表情を見せてくださり、女優としての大きなターニングポイントとなったのではないだろうか。
今後に注目。
柄本佑さんが相変わらず強烈。
昭和の時代に、「ロマンポルノの女王」と謳われた白川和子さんも出演。

「春画先生」は、しっちゃかめっちゃかなエロ映画。
ここまで振り切ってもらえると楽しいが、
やり過ぎてしまった感もなくはない。
余白がなくなってしまった。
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